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登山未経験の50代。エベレストに登るには

プレジデントオンライン / 2013年7月22日 11時45分

エベレスト登頂までのトレーニングメニュー

中高年のサラリーマンでもエベレストの頂上に立つことは可能だ。60歳過ぎで登っている人もいるが、ある程度の体力と技術を身につける必要がある。そこで計画的に訓練していけば、5年目には実現できる。

1年目は夏の富士山、さらに雪上訓練を兼ねて春の富士山に登ることを目標に、そのための体力づくりを欠かさない。私もいつもやっているが、通勤や散歩の際に足首にアンクルウエート(訓練用の重し)を巻くトレーニングが効果的である。まず片足に1キログラムから始め、徐々に増やす。休日などにはこの重しをつけて登山靴を履き、本やアレーを10キログラム分入れたザックを背負って2時間、週に3日歩く。自分のペースで楽しみながらやろう。

2年目は3キログラムずつ重しをつけ、20キログラムを背負い、週に3日、2時間歩く。富士山には年に10回ぐらい登る。その際に15キログラム程度の荷物を背負い、エベレスト登山に近い装備で歩く。さらにヒマラヤの5000メートル級の山をトレッキングする。

3年目は週に3回、5キログラムの重しをつけ、25キログラム背負って2時間歩く。富士山や日本アルプスを縦走し、ヒマラヤの6500メートル級の山に登る。その頃には周囲が、「こんなに変わったの」と驚くくらいに変身しているはずだ。

4年目は週に3回、8キログラムの重しと25キログラムを背負ってやはり2時間、距離にして10キロメートルぐらい歩く。この年には8000メートル級のヒマラヤの山に登っておこう。

そして5年目でエベレスト登山の本番ということになるが、この間に筋力トレーニングで体力をつけたり、ロープワークのテクニックをボルダリングなどで身につけておきたい。

エベレスト登山にはネパール側からとチベット側からの2つのルートがある。どちらも入山料が必要で、ネパール側で1チーム約700万円、チベット側で約600万円だ。個人では入山料が1人払いになり、旅費も入れると相当な費用になるので、日本国内でも募集している公募登山(ツアー)がいいだろう。この場合は旅費込みで300万~500万円が相場である。

■経験の積み重ねで達成感を楽しむ

日程的には、日本を出発してから帰国までに2カ月半は見ておく必要がある。ネパール側であれば、まずカトマンズに飛び、さらに飛行機で標高2800メートルのルクラに入って、5360メートルのベースキャンプ(BC)までのトレッキングがスタートする。3440メートルのナムチェで1週間~10日滞在、ここで5000メートル級の山を3回ほど登り下りして高度順応を行う。

次に3860メートルのタンボチェ、4240メートルのペリチェを訪れ、それぞれで高度順応を実施。次いで4920メートルのロブチェ、5130メートルのゴラクシェプを経てBCに到達する。1カ月ほどBCに滞在して、休息をはさみながら、高度順応のために7360メートルにあるキャンプ3(C3)までの登り下りを繰り返す。

そして、いよいよ8848メートルの山頂へ最終アタックだ。当然、天候にもよるが、私の場合は6050メートルのC1から8400メートルのC5まで12日ほどかけて登った。この高度では、滞在時間は短いほうがよく、夜中の10時前後に頂上目指してスタート。朝には山頂に立ち、その日のうちに7984メートルのC4まで下りた。

エベレスト登頂を成功させるには、常に自分に「絶対登るんだ」と夢の実現を言い聞かせることが大切だ。その気持ちを後押しするのは経験の積み重ねで、苦しいけれども頂上へ登った達成感が楽しみを深めてくれるだろう。

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プロスキーヤー 
三浦雄一郎

2003年に70歳7カ月で当時のエベレスト世界最高齢登頂記録を樹立。08年に再登頂。

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(プロスキーヤー 三浦 雄一郎 構成=吉田茂人 撮影=小倉和徳)

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