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人と反対のことを主張して「賢いことを言った気」になっている…そんな"困った上司"にイライラしない方法

プレジデントオンライン / 2023年4月15日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tadamichi

なんでも否定してくる上司とはどう付き合えばよいのか。人材育成コンサルタントとして、ハラスメント行為者へのカウンセリングを専門に行う松崎久純さんは「否定されても、できるだけ意識的に、個人的なこととして受け止めないようにしてみましょう。受け流す方法としては、効果があります」という――。

■なんでも否定する上司から解放されたい

毎日顔を合わせる上司が、ネガティブな人で嫌になっています。私に標的を絞って攻撃しているようには思いませんが、この人の性格なのでしょう。大勢の人から嫌われています。

部下としては、何かにつけて、言うことを否定されるので、仕事に熱心に取り組む気が失せてしまい、最近では、この上司から解放されたい思いで頭がいっぱいです。誰かが「いいかげんにしろ」と一喝してくれるといいのですが――会社員(20代後半)の方からのご相談です。

■常に人と反対のことを言う上司

私もネガティブな人なら任せてくださいと言えるほど、数多くの否定的な人と接してきましたが、否定的といえば、真っ先に思い出す人がいます。

勤務先の海外事業部で管理職だった(当時)50代の人です。

為替レートが自社に有利なときを見計らって外貨送金をすると、「レートは次の日にどう変わるかわからないから、考えても意味がない」。大掃除で蛍光灯を拭いていると、「器具全体をきれいにしなきゃダメだろ」という具合に、何でも否定してきます。

海外の出張先で時間が空いたときには、この人に「○○という観光名所がすぐ近くですから、見に行きませんか」と声をかけて、「そんなもの見てどうするの?」と言われ、絶句したことがあります。

場所はジャカルタだったのですが、人気のあるモニュメントを観に行くのが危ないという意味なのか、「君子危うきに近寄らず」と言っていたのを覚えています。

この人は「常に人と反対のことを言っているだけ」なのですが、どうやらそのことに気づいていないのです。

「この代理店向けの今年度の売り上げ目標は、達成が難しそうです」と話すと、「担当者は目標を達成できるように、諦めずに代理店を説得すべき。最後まで、できないと述べてはいけない」と言ったかと思えば、しばらくして、「無理とわかることにこだわっていてはダメ。できないとわかれば、早めに相談して、他の方法を検討すべき」と話すのです。

このように支離滅裂なことも多いため、私は思わず口を滑らせ、「さっきは、それがダメだと言ったじゃないですか」と反応してしまったこともあります。

否定的なことを言い、相手を非難することで、賢いことを述べた気になっているのですが、この人は驚くべきことに、会社で一緒に働く人たちにだけでなく、顧客などの取引先に対しても同じことをするので、社外の人たちからも煙たがられていました。

激しく嫌っている人たちもいる中で、私は周囲から「よく話を聞いていられるなぁ」と言われるほど穏やかに見えていたようですが、まともに相手をしていては、参ってしまいそうなことも多々ありました。

相談者の方も、同じような状況にいらっしゃるのかもしれません。

■現状はまだいい状態かもしれない

私は当時、この50代の管理者について、ここまでひどい性格の人はめずらしいと思っていました。

この人のせいで退職してしまう社員も多く、それは私が入社する以前から続いていることだとも聞いていたのです。

しかしながら、世の中には、予想できないことがあるものです。

私はその後(この人の存在とは関係なく)転職するのですが、転職先にいた管理者や同僚に比べれば、この50代の管理者は、それほどひどい人ではなかったのです。

世間には、もっと意地がわるく、病的に性格のわるい人たちがいました。

嘘をつき、部下や同僚の業績が上がらないように邪魔をしたり、人のことを経営層にわるく言って回るような卑劣な人たちが存在していたのです。

ここでは詳細な例に言及するのは控えますが、弱い立場の人をいじめ、活躍させないために全力を尽くすような、考えられない性格の人がいるのです。

そうした性格に問題のある人が「何人かいる」のではなく「うじゃうじゃいる」――そんな組織さえ、世の中には存在するのです。

私は相談者の方に、「そんな人たちもいますから、その上司の方を嫌がらないでください」と言うつもりはありません。

しかし、嫌な思いをされたときには、それは「まだいい状態かもしれない」と考えてみましょう。そのように勧める理由を次に説明します。

■「何を考えているかわかる人」はまだラクな状態である

ここまで性格に問題のある人について述べてきましたが、ここに登場した「性格に問題のある人たち」には、共通した特徴があります。

その特徴とは、彼らが「何を考えているかわかる人」であることです。

否定することで何かをした気になっている人、部下や同僚を陥れようとする人、いじめが好きな人など――ろくなことはしてきませんが、彼らがどういう意図で何をしようとしているかは、はっきりと読み取れるのです。

彼らは、その性格のわるさが、人相として顔に出ているのも特徴です。

このように相手が何を考えているかわかるのは、まだラクな状態と捉えることができます。

言動からであれ、人相からであれ、性格に問題のあることがわかる相手に対して、私たちは警戒心を持って、センサーを働かせておくことができるからです。

■注意すべきは考えていることを読み取られないようにしている相手

もっと注意が必要になるのは、考えていることを読み取られないようにしている相手です。

世の中には、たとえば、自分を単身赴任させた上司のことを(それまでと変わらず)好きなままでいる人がいます。

何年間も家族と離れて働かなくてはならないのに、それを決定した上司のことを「自分をよく評価してくれる『いい人』」と信じて疑っていないようなケースです。

木製ブロックの文字で、偽善者の単語が並ぶ
写真=iStock.com/patpitchaya
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/patpitchaya

■フレンドリーでもいい人とは限らない

私自身、あるところで長年もらっていた仕事を、新しく上司のような立場になった人に段階的に減らされていたのですが、相変わらず、その人のことを「自分を思いやってくれる尊敬できる人」と考えていたことがありました。

しかし、あるときにハッと気づいたのです。「自分から仕事を奪っているこの人は、全然いい人ではない」と。

私は、その人の前任者は、私との仕事にあまり熱心ではないと感じていましたし、その前の前任者に至っては、(正直なところ)自分のことしか考えていない人と思っていました。

しかしあらためて考えてみると、両人とも、それぞれ何年もの間、私に多くの仕事の機会を与えてくれて、それを減らそうとしたことは一度もなかったのです。これは私にとって重要で、ありがたいことでした。

私の仕事の機会を減らしている人とは10年以上の付き合いで、ずっとフレンドリーに接してもらってきました。温厚な性格で、仕事を減らす際にも、その都度、丁寧な事情説明をしてくれていたため、私は何も疑うことすらしていなかったのです。

これに気づいていなければ、(現実にはあり得ないことですが、)この人から単身赴任を命ぜられることがあっても、私は不審にすら思わず、むしろありがたがっていたかもしれません。

したたかで手ごわい相手というのは、自分をいい人だと思わせたまま、手厳しいことをしてきます。

私には、20代の頃に職場でお世話になった上司がいて、当時は特別に優遇されていると感じ、感謝していました。しかし、後になってみると、残念ながら「かなりいいように利用されていた面があった」ことにも気づいたのです。

上司のほうが上手(うわて)だったわけですが、彼が何を考え、どう見せかけていたかを、当時の私はまるで察知できていなかったのです。

■個人的なこととして受け止めない

大勢の人から嫌われているという相談者の上司の方は、おそらく何を考えているかは、わかりやすい人なのではないでしょうか。

何に関しても否定的とのことですが、思考を読み取るのは難しくないように思えます。

そうであれば、「問題はあるが、まだ大丈夫なレベル」と捉えることができます。

否定されても、できるだけ意識的に、「個人的なこととして受け止めない」ようにしてみましょう。そうすれば気にならなくなるとは言いませんが、受け流すには、効果的な場合があります。

■否定するからといってあなたを嫌っているわけではない

上司の方がネガティブで否定的な態度を取るのは、相談者の方に対してだけではないとのこと。否定的な人は、相談者の方がいなければ、他の人に同じように否定的なことを言っています。そして、周囲に誰もいなければ、一人で否定的なことを言っているものです。

また、否定するからといって、必ずしも相手のことを嫌いでないことが多いのも特徴です。

もし相談者の方が会社の御曹司であれば、上司の方も否定的なことは言ってこないでしょう。しかし一般の社会人であれば、これを社会勉強と考え、折り合いをつけるのも、乗り越えるための1つの方法です。

日没を迎える山の頂上でガッツポーズをする男性
写真=iStock.com/somchaisom
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/somchaisom

つらい面が多いとお察ししますが、そんな体験もしている人のほうが、年齢を重ねてからは周囲から信頼されやすくなるものです。

まさに相談者の方が願っておられるように、会社の人たちは、誰かが我慢の限界を感じて、その上司の方を怒鳴りつけてくれないかと望んでいらっしゃいますから、ご自分がそうはならないように気をつけたいものです。

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松崎 久純(まつざき・ひさずみ)
サイドマン経営・代表
もともとグローバル人材育成を専門とする経営コンサルタントだが、近年は会社組織などに存在する「ハラスメントの行為者」のカウンセラーとしての業務が増加中。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では、非常勤講師としてコミュニケーションに関連した科目を受け持っている。著書に『好きになられる能力 ライカビリティ』『英語で学ぶトヨタ生産方式』など多数。

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(サイドマン経営・代表 松崎 久純)

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