「スナック菓子やカップ麺は体に悪い」という人は何もわかっていない…美容と健康のために本当に重要な事
プレジデントオンライン / 2024年4月5日 10時15分
※本稿は、北條元治『40代の壁を乗り越える美容トレ 「肌の再生医療の専門家」が忖度なしで教える最高のエイジングケア』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■1つの食べ物を「食べすぎる」のはお勧めできない
私は肌の再生医療の専門家として、5000人以上の患者さんを診てきました。多くの患者さんから、どういう食事がいいのかといった相談も受けます。
患者さんのなかには美容のために「ナッツはお肌にいいから沢山とっている!」「海藻類は多めにとっている!」という方も多くいらっしゃいました。しかし、基本的に美容に関して1つの食べ物を「食べすぎる」ことはお勧めできません。
では何を最低限意識していけばいいのか、美容にいい食事を医学的な目線で解説いたします。
結論から言いますと、節度と自制心をもって食べれば、最悪な食べ物はありません。皆さん、「ジャンクフード、清涼飲料水・スナック菓子や、カップ麺は、悪い!」「ナッツやドライフルーツは美容に良い!」と何となく思われていると思います。
ただ私は、ある特定の食べ物の良し悪しは言いません。
なぜならば、健康にいいと思われているものでも、何事も摂りすぎは良くないからです。食べ続けたり大量に摂ったりしてしまうと、どんな食品もカロリーオーバーするなどの悪いことしか起きません。
■ナッツも食べ続けるとぶくぶく太っていく
ジャンクフード・清涼飲料水・スナック菓子や、カップ麺は健康に良くないという認識は良いと思いますが、一口もらったり、たまに食べるのもダメ! みたいなモノでもありません。
もちろん、毎日食べたり、摂りすぎるのはダメだと思っています。
また、ナッツやドライフルーツをダイエットに良いからという理由で食べ続けてしまうと、カロリーオーバーでぶくぶく太っていきます。こういうような一点集中で考える思考はやめて食べたいものを適量に食べていくというのが良いでしょう。
避けたほうがいい、美容・健康に悪さをするというのは、確かにジャンクフード・清涼飲料水・スナック菓子・カップ麺などだと思います。しかし、こういうものを名指しで批判するのではなく、上手く付き合っていくことが重要です。逆にナッツ=美容にいいという、1つの視点からの見方は逆に危険かなと思います。
もちろんこれらは食物繊維やナイアシン、ビタミンなどの美容にいい成分も含まれていると言いますけれども、それらは薬ではないので、美容効果を期待して食べるみたいな思考は良くないかなと思います。節度と自制心をもって食べれば、食べてはいけないものはありません。
■やはり「たんぱく質」が大切である理由
とはいえ、では食事の際にはどのような意識をすればいいか疑問かと思います。
基本的にはバランスが大事なのですが、日本人は特に緑黄色野菜が足りていません。それから、カロリー過多になりがちですね。
そして大事なのは、たんぱく質を意識的に摂取することかと思います。若々しくいるために「不足させてはいけない栄養素」というのはたんぱく質です。ビタミンを含んだ食材は多くあまり不足することがありませんが、たんぱく質は意識的にとらないとどちらかといえば不足しがちな栄養素です。
私たちの筋肉・臓器・肌は、水分とたんぱく質でできています。ですので、不足してしまうと体は良好な状態が保てなくなります。
なかでもたんぱく質というのは炭水化物・脂質と違って、「体に貯蓄できない、食べ溜めできない」栄養素です。
糖質は糖が脂肪に変わり、皮下脂肪として蓄えられます。また脂肪は、分解されて「糖新生」という現象を起こし、エネルギー源として使われます。このように、糖と脂肪は体に蓄積することができ、必要な時に使用できるのです。
■爪が割れ、皮膚がガサガサになってしまう
ただ、たんぱく質は蓄積できないうえに、常に分解され続けている栄養素です。不足してしまうと、爪が割れたり皮膚がガサガサになったりする場合もあります。ですので、常に体内に取り入れてあげることが重要です。
では何から摂るのが良いのかというと、食事です。たんぱく質は自分の体重1kg当たり1g程度を毎日摂るのが良いとされています。私の場合は70kgですので70gほど必要です。ただ、体重分のたんぱく質を摂るのは中々大変ですし、年を重ねると糖質・脂質を多く摂りすぎてしまい、かなり難しいです。
そういう時は、プロテインドリンクなどで補ってあげるのが良いでしょう。基本的にはお肉やお魚から摂り、足りなかったり難しかったりしたら、プロテインを摂っていきましょう。
皮膚も体の一部です。体の中の健康に気をつけることで、皮膚の状態も自然と良くなります。
■「たんぱく質を摂りすぎると腎臓病になる」はデマ
よく、たんぱく質の摂りすぎと、腎臓病との関連を指摘する人もいらっしゃいます。でも常識的な範囲内でプロテインを摂る分には全く問題がありません。たんぱく質が代謝されると、老廃物として尿素窒素が出ます。
腎機能が悪いとその尿素窒素が排出されずに血液中の尿素窒素の量が増えてしまうという事実がありますが、たんぱく質を摂りすぎて腎機能障害になるというのは全くのデマです。
もちろん1日に1kgほどのたんぱく質だけを摂っていたらそれは分からないですが、普通の食事をしている分には問題ありません。
食事によって病気になるというのは確かにあります。例えば脂っぽいものばかり食べていると高脂血症になるとか、カロリーをいっぱい摂りすぎると糖尿病になるというのがありますが、腎臓病と食事との関連というのはあまり指摘されていないんですね。
基本的に年を経ると小食になる方が多いから、たんぱく質を意識した食事をする。そして足りないようならプロテインを飲むということをおすすめしたいと思います。
■若さを保つ秘訣は「60点でいい」というマインド
全身的な健康を守るための食事ということでの推奨としては、実は厚生労働省や農林水産省の方でも指針を出しています。厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」という資料が参考になるかと思いますので、栄養バランスが気になる方はご参考にしてみてください。
私は常に美容を考えて100点満点の生活を心がけるよりも「60点でいい」みたいなマインドが良いのかなと思っています。
結局、がんじがらめで生きるより好きなことをしながら見直すことが健康としてもいいんです。
「がんばらなきゃ」というマインドでいると、シャンプーをしすぎたり、肌トラブルも招きがちです。
本質的には「人生を充実して生きる」ことが大事なのであって、そのための一つの要素が、年齢よりも若く見えることやきれいであることだと思います。
美容は「人生を楽しく生きる」目的を達成するための手段にすぎないと覚えていただいて損はないです。
その1つの手段を達成するために参考にしていただければ幸いです。
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医学博士
1964年、長野県生まれ。医学博士。東海大学医学部非常勤講師。株式会社セルバンク代表取締役。弘前大学医学部卒業。信州大学附属病院勤務を経てペンシルベニア大学医学部で培養皮膚を研究。帰国後、東海大学にて同研究と熱傷治療に従事。2004年に細胞の製造・保管や再生医療の技術・導入支援を行う株式会社セルバンクを設立し、2005年に肌の老化防止(肌の再生医療)専門の医療機関RDクリニックを開設。創業ドクターとして、5000人以上もの女性の肌の悩みを解決している。現在は社長業と共に再生医療の普及に従事するため、YouTuberとしても活動中。YouTube登録者数30.1万人(2024年3月現在)。
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(医学博士 北條 元治)
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