ミニスカワンピで大胆ピッチングの笹川萌「小2のクリスマス、ゲームキューブと『どうぶつの森』がほしいとお願いしたらミズノのグローブが置いてあって泣きました」
集英社オンライン / 2024年5月5日 16時0分
SNSで「こんな彼女はいやだ」という文とともに、バッティングセンターで豪快な打撃やコントロール抜群のピッチングを披露する美女の動画がバズっていた。現在YouTuberとして活躍する「野球女子」笹川萌さんだ。一時は一般企業に勤めていた彼女はなぜ野球YouTuberとなったのか。その経緯を聞いた。
「中学時代は私もバリカンで髪を短くしていました」
ーーSNSにアップされた「こんな彼女はいやだ」という動画を見ました。バッティングセンターのストラックアウトを次々と射抜いていく。本当にコントロールがいいですね。
笹川(以下同) 実はコントロールは全然いいほうじゃないんです。どちらかといえば球速がメインのタイプで、コントロールは磨かなきゃなって今でも思ってます。
ーーメディアでは「最速120キロの美女左腕」と言われています。
球速はちゃんと測ったことはなかったんですが、高校時代、私がピッチング練習をしているときに打席に立った男子野球部員に「これ、130キロ出てるよ」って言われたんです。130キロとは言えないですけど、120キロは確実に出てたので「120キロ」とは言ってます。小学生のときで100キロは出てました。
ーーすごい。そもそも野球との出会いは?
うちは野球一家なんですよ。父が少年野球の監督をやっていて、母もソフトボール経験者。上の兄2人も野球をやっていて、なので野球の道しかなかった感じでした。
小学2年生のときに、父の少年野球のチームに私が入らないなら監督をやめちゃうと聞かされて、責任感もあってそのチームに入って野球を始めたんですけど、後々それは嘘だとわかりました(苦笑)。その年のクリスマス、サンタクロースにゲームキューブと「どうぶつの森」がほしいとお願いしたんですけど、朝起きたらミズノのグローブが置いてあって泣いた記憶があります。
ーーご家族といえば、BAD HOPのTiji Jojoさんとは親戚なんですね。
いとこですね。でも一緒に野球をやったことは全然ないです。まったく別の道に進んでいるんで。野球できるのかなあ。
ーー中学にあがると、笹川さんはクラブチームの「横浜ベースボールクラブサムライ」に入ります。当時、女子選手は一人だけだったそうですね。
最初はいろいろありましたね。キャッチボールをしただけでも「ウェ〜」とはやしたてられたり、ゴハンも一人で食べてました。でも時間が経つに連れて仲よくなっていきました。
大会になると男子はみんな五分刈りで、私もバリカンで髪を短くしていました。男の子によく間違われて、グラウンドの女子トイレに入ると管理人さんから「男子トイレはそっちじゃないよ」と止められていました(笑)。
高校、大学と全国制覇しながら怪我で挫折も…
ーーその後、進学した横浜隼人高校では軟式の女子野球部に入り1、2年時は全国制覇(3年からは硬式野球部に変更)。尚美学園大学の女子硬式野球部でも全国制覇しています。
でも、大学1年生の冬ぐらいに肩を壊しました。キャッチボールをしようとしたら、痛くて3メートルぐらいしか投げられなかったんです。小中高とずっとピッチャーをしてきて、ピッチャーができない野球は野球じゃないと心が折れて、辞めようと思いました。
監督に「辞めます」と伝えにいったら「バッティングという道もあるぞ」って言われて。それから必死にバッティング練習を始めました。そこからはDHで出場して、3、4年生ぐらいでやっと塁間を投げられるようになりました。だからほぼ2年間は投げてなかったですね。
ーー大学卒業後は都内の一般企業に就職します。
痛みを感じながら野球をするのはもういいかなと思って、一度就職しました。就職先は自動車機器メーカーの営業です。営業先の人に野球をしていたと話すと、めっちゃ打ち解けやすかったです。初めて野球をやっててよかったなと思いました(笑)
ーー野球自体からは離れていたんですか。
野球から離れようとは思っていたんですけど、入社して3か月後には同期に誘われて草野球チームに参加していました。
その同期のチームに参加していたら、たまたま相手チームに野球YouTuberの向さんがいらっしゃって。向さんのチームは強豪大学出身のピッチャーだったんですけど、その人から私はレフト前ヒットを打って。ピッチャーとして向さんと対戦したときにもレフトフライに抑えたんです。それで「YouTubeに出ないですか」と言われて。
ーー小学校から野球をやっていたことで出演につながるとは縁ですね。笹川さんが打撃を披露した2019年の動画は現在までに250万回以上再生されています。
私からしたら野球ができることは当たり前だったので、出演に関しても最初は「いや、こんなのいっぱいいるので」と断っていたんですよ。だから動画も普通のことをしているのに伸びて不思議です。
ーーバッティングセンターで華麗なスイングで130キロの球を打ち返す姿は相当インパクトがありましたよ。その後「野球女子」として人気となり、2021年2月には会社を辞めてYouTuberとなります。
両立ができたら一番よかったんですけど、やれるならYouTuberの道に進みたいとずっと思っていて。親からは「3年間は会社を続けて、それでもやりたいならやりなさい」と言われていました。3年経っても自分の意思が変わらなかったので挑戦しました。女子が野球というと「ソフトボール?」と言われるので、もっと女子野球のことをみんなに知ってもらいたいという思いもありました。
女子野球の発展の一役を担う
ーーYouTuberになってよかったことはなんですか。
会社に勤務していたら会えないような方とお会いできることです。野球を発信してることがきっかけで「ジャンクSPORTS」で新庄剛志さんと対決したり、秋山翔吾選手の自主トレに参加できたり。普通では経験できないことが経験できています。
ーー脱サラ後の2021年には選手として大阪の女子硬式野球チーム「アメイジング」にも所属しました。
チームの監督で野球Youtuberのミノルマンに「うちのチームに来てほしい」と誘われて加入しました。最初は横浜に住んでいたので、土日だけ大阪に通う形を取っていたんですけど、土日だけの練習では燃焼しきれないところがあって。
もっとちゃんと野球をやろうと美容院の帰り道に母へ「来週から大阪で引っ越すわ」といきなり電話しました。母は「えっ」となってましたね(笑)。
室内練習場から一番近いマンションに引っ越して、毎日練習をして1年間人生で一番練習して過ごしました。もうやれるところはやりきったという思いもあり、2023年夏に引退しました。
ーー現在の活動は?
今はYouTubeであったり、野球イベントに出演させていただいています。あとはアパレルブランド「EMOVE」を2022年に立ち上げました。
ーー活動を通して女子野球の認知を上げたいということでしたが、どうですか。
私に興味を持ってもらえたら「女子野球ってあるんだ」という認知に繋がると思っていて。大阪での「アメイジング」の試合にファンの方が見に来てくださったり、先日も平塚球場での女子学童選手の大会に呼んでいただいて、女子野球選手が増えていることを見るとよかったなと思います。私を通して女子野球の認知を高めていけたらいいなとも思います。
あと私は中国語がちょっと話せるので、それを活かして野球を絡めたことをやれるのもおもしろいかなと今は考えています。
取材・文/徳重龍徳
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