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イオンシネマ車いす騒動、必要だった“合理的配慮”とは?欧米の映画館との大きな違いも

日刊SPA! / 2024年4月9日 8時50分

◆多様性を受け入れる姿勢を

 関根さんはこう続けます。

「どうしても移動や情報保障に問題が起きた場合は、個別に必要な配慮をするのが、合理的配慮です。インフラが充分に整っていれば、サービス側には過剰な負担がかかりません。もし困っているお客様がいればどうすればよりハッピーにすることができるか、考えるマインドが大事だよね、という議論ができるんです」

 つまり日本では、中小企業ほど設備も整っていないのに合理的配慮を求められるという、厳しい状況になったと言えます。ハードが不十分なことはわかりました、ではソフト面はどうでしょうか。前出の金子さんはこんな体験談を話してくれました。

「以前、映画館で映画を見ていたとき、小声で話すことができず、大声で興奮している観客がいました。『大変そうだな~』なんて思っていたら、映画が終わった後にスタッフが『みなさんこちらからどうぞー』と自然に誘導していました。そうして『今日はちょっとお客様にトラブルがあって理想的な経験ではなかったかもしれません、ごめんなさい。お詫びにこちらのクーポンを差し上げますので、またの機会にお楽しみください』と各人にフリーチケットをくれたんです。そこまでしなくてもいいのにとは思いましたが、個人のせいにせずに多様性を受け入れる姿勢が素敵ですね」

◆字幕や音声解説のサービスも

 個別対応だけではなく「欧米の映画館やシアターは、さまざまな席が車いすで使え、聞こえない方への配慮としての字幕や、見えない方への情報保障としての音声解説の設備も揃っていて、多様な顧客に対応していることをアピールしています」(関根さん)と言います。

 欧米では企業が「誰も取り残さない」「持続可能性がある」といったSGDsに対してどう取り組んでいるか、とても重要だそうです。環境や人権に対し意識の低い企業の商品や株を買わないと聞いたことがあります。まだまだ日本ではこうした意識が低いように感じます。

「ハードが整っていない分、ソフトでカバーしなければいけないこともありますが、できないことも多々あるでしょう。それは都度話し合いをしていけばよいと思います」(関根さん)

 イオンシネマでは、車いすシートのないスクリーンでしか上映する作品がないよう、上映スクリーンを変えるなどで対応するとのこと。なにかあったとき、これからも双方話し合いの上、解決していきたいものです。

<取材・文/和久井香菜子>

【和久井香菜子】
ライター・編集、少女マンガ研究家。スタッフ全員が何らかの障害を持つ会社「合同会社ブラインドライターズ」代表。著書に著名人の戦争体験をまとめた『わたしたちもみんな子どもだった 戦争が日常だった私たちの体験記』(ハツガサ)などがある

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