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井上尚弥は5月6日東京ドーム決戦!歴代日本人ボクシング王者99人「最強チャンプは誰だ」

日刊大衆 / 2024年5月5日 15時0分

写真はイメージです

 ボクシングでは34年ぶりの東京ドーム決戦が5月6日に行われる。主役は“史上最強”井上尚弥(31)。対戦相手は“悪童”ルイス・ネリ(29=メキシコ)。そんな歴史的一戦の前に、日本のレジェンド王者らに“歴代日本人最強ボクサー”について語ってもらった。

KO勝利、防衛、不敗伝etc.データで見えた最強ファイター

「ボクサーを評価するには勝敗だけでなく対戦相手、試合内容などが重視されます。ですが、誰が見ても分かる客観的な指標として勝率、KO率、防衛数などのデータも重要な判断材料になります」(スポーツ紙ボクシング担当記者)

 そこで本誌は、連続防衛回数・勝率・KO率の3項目でトップ3の記録を持つボクサーをリストアップ。

 それぞれの特徴について、ボクシング漫画の傑作『あしたのジョー』の人気キャラクター・力石徹のモデルで、格闘技ライター歴44年の山崎照朝氏に意見を聞いた(以下の発言=山崎照朝氏)。

KO率(KO数÷試合数)

 1位・井上尚弥(26戦23KO)=88%、2位・平仲明信(22戦18KO)=81%、3位・浜田剛史(24戦19KO)=79%。

 やはり1位には井上尚弥が輝いたが、平仲、浜田ら往年の名ハードパンチャーも名を連ねた。

「平仲は沖縄のボクサーらしい、荒々しいファイターだった。具志堅ら先輩が築いた沖縄のボクシングのプライドを感じさせるファイトスタイルは見事だった」

 ボクシングの強豪・沖縄県は浜田の出身地でもある。

「浜田も沖縄出身だが、彼の1ラウンドから倒しにいくスタイルこそボクシングの本質。“やるかやられる”かの勝負を見せないと、あれだけファンを魅了するのは難しいからね」

 荒々しさと獰猛さこそが、KOにつながるのだ。

連続防衛1位はお茶の間の人気者

 1位・具志堅用高(13回)、2位・山中慎介(12回)、3位・内山高志(11回)。

 今や、お茶の間の人気者としての地位を確立した具志堅が防衛回数で1位に。

「彼は別格。もちろん技術もあるが、何よりもハート。気持ちのボクシングなんだよ。気持ちの強い選手はいるけど、具志堅ほどの人はいないだろう」

 惜しくも12回で具志堅の記録を上回れなかった山中に関しては、

「山中のパンチはとてもいい。一発一発がキレイ。ただ、性格が優しいんだな。そのせいで具志堅の記録を抜けなかったのかもしれない」

 そんな山中と内山には共通点があるようで、

「内山も山中と同じで、強い選手はキレイ。姿勢がいい。腰が安定するから重心を乗せて打てる。内山の伸びる右ストレートはトーマス・ハーンズ(米国の5階級制覇王者)みたいで、一番好きだったな」

勝率では竹原慎二も印象的

 1位・井上尚弥(26勝0敗)、中谷潤人(27勝0敗)=100%、3位・竹原慎二(24勝1敗)=96%。

 ここでも、やはり“モンスター”井上が1位。

「パワー系の選手とはパンチの打ち方が違って、一発の力で倒すのではなく、技術で倒す。そういう面では技巧派。テクニックで彼の右に出る者はいないよ」

 ネリ戦でも他の追随を許さないテクニックで勝利を収めることが期待されるが、その井上と同格の強さと山崎氏が語るのが、中谷潤人。

「中谷は強いパンチもあるし、かなりいい試合をしている。なぜ井上ほどの人気がないのか、不思議なくらい。アメリカで修業していたから、日本での知名度があまりないのかな」

 現役最強ボクサーの両名を差し置いて「最も印象的だった」と語られるのが、竹原慎二だ。

「日本で初めてのミドル級世界チャンピオン。ストレートがキレイだった。誰もなれると思っていなかったミドル級で、チャンピオンになったのは大変なこと。

 具志堅の13回防衛もすごいと思うけど、インパクトでは竹原だよ。1回負けて、やめちゃったのが残念だけど」

 負けないボクサーにとって一度の敗北は、引退にもつながる残酷なものなのだ。

具志堅用高、畑山隆則、亀田興毅がランキング

 ここからは、具志堅用高氏、畑山隆則氏、亀田興毅氏の3人のレジェンド王者に、99人の歴代日本人チャンピオンの『パウンド・フォー・パウンド(全階級を通じたランキング)』を聞き、本誌独自のランキングを作成したい。

 まず5位にランクインしたのが、“ノックアウト・ダイナマイト”の異名を持つ内山高志。

「豊富なアマチュア時代の経験に裏打ちされた試合運びの巧さと、破壊的な強打が魅力のボクサー。

 層が厚く、難しいとされる中量級を渡り歩いた点でも、日本人では、右に並ぶ人はそういないですね」(スポーツ紙ボクシング担当記者)

 これには畑山氏も同じ意見で、

「私も中量級でしたけど、スピード感と重厚感を両立している階級。その中で、11回も防衛できたのも、単純にすごいですよ」

 続いて4位には、世界王者在位中の23歳時に交通事故で、この世を去った“永遠の王者”大場政夫がランクイン。

「印象的なのは、試合中にダウンを喫し、足首を捻挫しながらも12回に怒ど涛とうのラッシュを浴びせた5度目の防衛戦ですね。俺より強いやつはいない、という負けん気の強さが特に表れた試合でした」(前出のボクシング担当記者)

 終盤での逆転劇がお家芸だった彼は、まさにスーパースターだったと具志堅氏は言う。

「あんなにボクサーらしい選手は、もう出てこないよ。大場さんはスター性があって、超かっこよかったね」

 亀田氏も、こう絶賛する。

「世界チャンピオンの中でも、際立ってファンを魅了していた素晴らしい方。大場さんは不屈の闘志で立ち上がり、見る者を感動させる選手だと思います」

 そんな亀田氏が甲乙つけ難いと評した、辰𠮷𠀋一郎を3位に選出した。

「大場さんもそうでしたが、辰𠮷さんも魅せるボクシングができる人。プロとして一番大切なことです。今も根強いファンがいますし、私も、とても尊敬していますよ」(前同)

 43歳になった今も「チャンピオンを目指す」と発言している“浪速のジョー”には、先輩ボクサーたちも「目のケガがなければ、もっと防衛できた」と太鼓判を押す。

「粗いボクシングではあったから、ガードが甘く、よくパンチをもらってたけど、それが人気の理由でもあったでしょ。

 体の柔らかさ、リズムなどは天才的だったし、パンチも左のジャブなんかは井上尚弥よりも早かったんじゃないかな」(具志堅氏)

 その井上超えの左を持つ男をしのいで2位に選ばれたのは、往年の名選手、ファイティング原田だ。

「時代が違うから一概には言えないけど」と前置きしたうえで、彼こそ最強だと言うのは亀田氏。

「原田さんは最強だと思う。団体も分かれていない時代だし、階級の数は今の半分以下。

 それでいて今より3ラウンド多い、15ラウンド制。グローブは軽い。これで戦えるボクサー、今、いますか? という意味でも超えられない殿堂入りボクサーですね」

 厳しい時代を生き抜いたボクサーの最大の魅力は、やはりスタミナ面にあるようで、

「1ラウンドから最後まで休まず連打する、あのスタミナはすごい。今の選手にはいない。

 若い子たちには、12ラウンド戦った後に笑える元気があるならファイトしなさいって、言ってやりたいよ」(具志堅氏)

 もはや伝説レベルの原田だが、それすらもしのぐ選手がいた。

「1位の彼は誰がどう考えてもそうでしょう」(畑山氏)

「今の時代のルールなら彼が圧倒的」(亀田氏)

 現役選手に対する物足りなさを語る具志堅氏でさえ、

「やっぱり1位は井上しかいないよ」そう語るほど、圧倒的な1位に選ばれたのは“現役最強”の井上尚弥だった。

「100年に一人の天才」レジェンドチャンピオン豪華審査員

具志堅用高 1955年6月26日生まれ。沖縄県石垣市出身。23勝(15KO)1敗。左ファイター。ニックネームはカンムリワシ。「100年に一人の天才」と呼ばれ、9戦目で世界ボクシング協会(WBA)世界ライトフライ級王座を獲得し、男子の日本記録である13度連続防衛を果たした。2015年にはオールドタイマー部門で、国際ボクシング名誉の殿堂入り。太田プロダクション所属のタレントでもあり、テレビ番組などに多数出演している。

YouTubeチャンネルも人気

畑山隆則 1975年7月28日生まれ。青森県青森市出身。24勝(19KO)2敗3分。右ボクサーファイター。青森山田高野球部に所属したが、中退してボクシングに転向。WBA世界スーパーフェザー級(防衛1度)と同ライト級(防衛2度)の2階級を制覇した。現在は元WBA世界ミドル級王者の竹原慎二氏とボクシングジムを運営。竹原氏、元WBA世界ライトフライ級王者の渡嘉敷勝男氏と出演するユーチューブ公式チャンネルも人気。

日本人で初めて世界3階級を制覇

亀田興毅 1986年11月17日生まれ。大阪府大阪市出身。サウスポーファイター。33勝(18KO)2敗。日本人で初めて世界3階級(WBAライトフライ級、WBCフライ級&バンタム級)を制覇。幼少期から父・史郎氏の指導を受けた亀田3兄弟の長男で、弟の大毅氏と和毅(現役)は元2階級制覇王者。従兄弟の亀田京之介も現役プロボクサーで2019年度東日本新人王。現在はボクシング興行「3150FIGHT」のファウンダーを務めている。

モンスターが控える世界戦の展望

 レジェンドチャンピオンが口をそろえて歴代最強に推す、井上尚弥。

 それでは、彼がボクサーとして、どうすごいのか。3人のレジェンド王者の評価を聞いてみよう。

「自分の距離で戦う力が、すごい。絶対、相手に打たさないもんね。相手のボクシングをさせない。だから強いんですよ。

 コンディションや体を作ったりする能力も、天才的。後にも先にも出ないボクサーだと思うよ」(具志堅氏)

 連続防衛数の世界記録を持つ具志堅氏をして、そう言わしめる天才ボクサーなのだ。

「説明不要。現役のパウンドフォーパウンドでも、1位とか2位とかだから。

 勝ちに徹する、こそこそしたボクシングだと、あれだけの評価はされていないし。ボクシングの一番の華はKO。それを求められ、期待を上回る感じもスターですね」(畑山氏)

 そのスター性は、あの選手にも通ずるものがあると畑山氏は続ける。

「ボクサーとして持つべきものは、すべて持っている。野球で言えば、大谷翔平クラスの選手だよ。二刀流じゃないけれど、まさに漫画の世界のことをやっている」(前同)

 井上はボクシングの技術もさることながら、日々の努力に関してもメジャー級。

「何がすごいかというと、日頃の行いの積み重ねですよ。誰もマネできないぐらいのトレーニングをしているから結果が出ている。

 体つきを見れば分かる。シンプルですよ。才能だけではない。努力です。技術的にもすべてが世界トップレベル。スピード、パンチ力、タイミング、足の運び、距離感などすべて」(亀田氏)

 一方、そんな井上と5月6日に対戦するルイス・ネリは、どんな選手なのか。

「戦績は35勝(27KO)1敗。積極的に前に出ながら繰り出すパワフルな連打を武器に、バンタム級とスーパーバンタム級の2階級を制覇。山中慎介にKOで2連勝したことでも知られます」(ボクシング担当記者)

 しかし、1戦目はドーピング検査で陽性反応(処分はなし)、2戦目は大幅な体重超過の騒動を起こしている。“悪童”と呼ばれ、今やボクシング界のヒール的な存在だ。

 だが、その実力は、井上が所属するジムの大橋秀行会長も「危険な相手なのは間違いない」と警戒するほど、確かなものだ。

 では、約5万人の観衆が見守るであろう東京ドーム決戦の勝敗はどうなるのか、3人に占ってもらった。

 まず亀田氏は、井上の圧勝と予想する。

「ネリでは勝てない。やってるボクシングのレベルが違い過ぎる。井上のKO勝ちでしょう。確かにネリも強いけど、もろさがある。

 あれぐらいのパンチなら井上はカウンターを合わせていくと思う。タイミングが合えば、早々に倒すかもしれない。1ラウンドKOもありうる」

 続いて具志堅氏も、亀田氏と同じく、井上の圧勝を予想する。

「ネリの粗いパンチを一発でももらわなければ、井上のペースになると思う。彼なら、ネリが振ってくるパンチに、カウンターを合わせることができるんじゃないかな」

 ただ、ネリの一発に怖さも感じているようだ。

「勢いに乗って、どんどん打ってくるのは怖いから、それをさせないようにしないと。勝負のポイントはディフェンスと距離感。

 ネリは長い腕を生かして、離れてボクシングをすると思う。もしもネリが勝つとしたら、早いラウンドじゃないか。ネリはスロースターターではない。パワーもあるし」(前同)

 畑山氏は、後半勝負と予想する。

「井上が8ラウンドぐらいまでにKOするでしょう。ネリは一発パンチがかすれば、腰が引けてしまうんじゃないか。でも、さすがに井上も階級を上げてからは、以前のように一発で倒すイメージは薄れてきている。前半にダメージを蓄積させて、後半でKOでしょう」

ファン目線で予想すると

 最後にボクシング観戦歴34年、元お笑いコンビ『ラヴドライブ』のメンバーで、ボクシング情報サイト『ボクシングモバイル』の編集長を務める、やすおかだいご氏に、ファン目線で予想してもらった。

「井上が負けるのは考えにくい。ネリは結構危険だと思うが、1ラウンドか2ラウンドで倒されてしまうかもしれない。井上が右か左のボディブローで決めると思う。ネリは唯一の敗戦も、ボディ一撃で立ち上がれなかった。ああいう姿を見せるボクサーは、強くないのかなと思う」

 予想は井上勝利が圧倒的。だが、34年前の東京ドーム決戦では番狂わせもあった。

「最強といわれたマイク・タイソンがジェームス・ダグラスに敗北を喫しましたた。東京ドームには魔物がいるので、井上も油断はできません」(スポーツ紙ボクシング担当記者)

 心配する外野の声にも、井上は「毎度、そんな予想を立てられながら試合をしているので、会場関係なく、いつも通りの気持ちで臨むだけ」と話している。

 モンスターの悪童退治が、目前に迫ってきた。

夢の対戦が誌上で実現「井上尚弥vsマイクタイソン」

 34年前に東京ドームで戦ったマイク・タイソンと、現在の井上が戦えば、どうなるのだろうか。2人は時代も階級も大きく違うが、井上には、そんな想像を掻き立てるほどの可能性を感じる。ともに全盛期のコンディションで、身長と体重が同じであると仮定して、ドリームマッチを想定してみよう。

 まずは2人のスタイル。ヘビー級では小柄であったタイソンはガードが下がらないようにグローブの親指を噛むように固め、上体を前後左右に動かしながら素早く懐に飛び込んで、丸太のような太い腕で強打を繰り出す。パンチを避ける目と体の動きも素晴らしい。首も頭と同じぐらい太く、打たれ強い。

 井上のスタイルを説明するのは難しい。すべてが特徴と言えるほど高いレベルにあるからだ。あえて言えば、自ら攻撃を仕掛けてパワーでねじ伏せるタイソンに対して、井上はパワーもあるが、タイミングよくカウンターを合わせて相手を倒すタイプということか。

 そう考えると、2人の戦いは、鋭く踏み込むタイソンに井上がカウンターを合わせられるかがカギになるのではないか。タイソンが一発でも強打をヒットさせれば、一気に連打で仕留めてしまうだろう。だが、井上ならばタイソンが懐に飛び込んでパンチを放つ一瞬のスキに、カウンターを通すこともできるのではないか、そうなれば、タイソンの勢いも重なってパンチの威力は増し、勝負は一撃で決まるかもしれない。どちらが勝利するにしろ、スリリングな展開、衝撃的な結末になるだろう。

週刊大衆が選ぶ!パウンドフォーパウンドPFP

1井上尚弥 26勝(23KO)無敗。打たせずに打つボクシングの理想を体現したと言える、非の打ちどころのない日本ボクシング界の最高傑作。試合後、顔に傷を作らないことでも知られる。圧倒的な試合内容で次々と強豪を撃破し、4階級制覇、2階級で4団体王座統一などの偉業を成し遂げたのは、もはや伝説と言っていい。マイク・タイソン、マニー・パッキャオ(フィリピン)らが名を連ねるPFP1位に日本人で初選出。今後は、井上を抜きに世界のボクシング史は語れないだろう。

2ファイティング原田 55勝(22KO)7敗。1団体時代にフライ級とバンタム級の世界2階級を制覇。“黄金のバンタム”と呼ばれた名王者エデル・ジョフレ(ブラジル)に2戦2勝した実績は高く評価され、日本人で初めて世界ボクシング殿堂入りを果たした。休むことを知らないラッシングファイトは“狂った風車”などと呼ばれ、あのマイク・タイソンも参考にしたといわれている。現在は日本ボクシング協会会長、世界チャンピオン会最高顧問を務めるなど、まさに“ボクシング界の象徴”である。

3辰吉丈一郎 20勝(14KO)7敗1分け。“浪速のジョー”の愛称で親しまれた人気ボクサー。勝敗、防衛回数などの数字は歴代王者の中では目立つものではないが、常人離れした負けん気の強さとファイトスタイルから、井上尚弥が憧れのボクサーとして名を挙げるほどの存在。初の世界王座獲得後、2度目の王座獲得後に網膜裂孔、網膜剥離を起こしている。当時のルールでは強制引退だったが、本人の強い希望により、特例で現役の続行が許可された。精神面で右に出る者はいない“魂のボクサー”である。

4大場政夫 35勝(16KO)2敗1分。WBA世界フライ級王座を5度防衛中に交通事故死した永遠のチャンプ。スリムな体形に端正な顔立ちのアウトボクサーで、スタイリッシュな印象ながら不屈の闘志の持ち主。初回にダウンしながらも5回にKO勝ちした最強挑戦者オーランド・アモレス(パナマ)戦、チャチャイ・チオノイ(タイ)に初回ダウンを喫し、さらに右足首を、ねん挫したものの、12回に逆転KO勝ちした最後の試合など、数々の激闘は昭和のボクシングファンの胸を熱くした。

5内山高志 24勝(20KO)2敗1分。アマチュアで全日本王者となるなど、テクニック面での評価も高いが、爆発的なパンチ力が最大の武器だろう。相手を破壊するような豪快KOを量産して“ノックアウト・ダイナマイト”と呼ばれた。世界的に強者が集まる階級とされ、層が厚いスーパーフェザー級でWBA王座を11度防衛した点も大きなポイントである。だが、周囲から期待され、本人も熱望していた海外進出という夢がかなわず、世界的な評価を得る前にキャリアを終えたのは残念だった。

「ジョー」と呼ばれたボクサー青木勝利という男

 スポーツ漫画の金字塔『あしたのジョー』には、主人公・矢吹丈(ジョー)のモデルになったボクサーがいた。“メガトンパンチ”と恐れられたボクサー・青木勝利。その人生は、まさに劇画のごとく波乱万丈だった。

ファイティング原田、海老原博幸と並び“三羽ガラス”

 戦績は29戦19勝(12KO)7敗3分。ファイティング原田、海老原博幸と並び“三羽ガラス”と呼ばれた男はもともと、手のつけられない不良少年。お金を稼ぐために、ボクシングを始め、若くして東洋チャンピオンに輝く。しかし極度の練習嫌いや、アルコール依存で戦績を伸ばせずに燃え尽きた。それからの生活は荒れ、暴行・窃盗・器物損壊・詐欺・薬物所持で逮捕歴20回、前科は7犯に及ぶ。

 しかし、彼と拳を交わしたものは口をそろえて「彼は優しすぎる」と語る。飲酒についても、試合前の恐怖心を抑えるためだったという。

 明日が見えない恐怖を拳一つで乗り越えようとした心優しいボクサーだった。

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