老後のお金を貯められない「心の問題」を克服する、ちょっとしたルール
LIMO / 2020年7月26日 21時0分
老後のお金を貯められない「心の問題」を克服する、ちょっとしたルール
「メンタル・アカウンティング」という言葉を聞いたことがありますか? 「心の会計」と日本語にすることもあります。
お金のことを考えるときに理論や理性よりも感情の方が強く出てしまう非合理的な行動のことを、行動経済学では「行動バイアス」と呼びますが、心の会計もそうしたバイアスの一つです。
お金に色はついていないはずだが・・・
具体的な例を考えてみましょう。あなたは、仲間を誘って“ちょっと贅沢なランチ”にいきたいなと思っています。
先月、頑張って働いたこともあって残業代が1万円増えました。このお金で“ちょっと贅沢なランチ”に行きますか? 宝くじが当たってちょうど1万円受け取ることができたなら、行きますか?
「宝くじが当たったのなら“ちょっと贅沢なランチ”に行ってもいいけど、残業代の増えた分では嫌だな」と思う人は多いと思います。宝くじの当選金の方は何となく“あぶく銭”のように感じて、「パーっと使ってもいいかな」という感情が強くなります。
でも本当は、当選金でも残業代でも同じ1万円です。お金に色がついているわけではありませんから、こうした使い方に違いがあるのは合理的ではありませんよね。これが感情に動かされる「心の会計」というバイアスの一例です。
ライフプランの作成でも起きる「心の会計」
ライフプランを作成するときやファイナンシャル・アドバイスを考えるときには、「ライフサイクル仮説」という理論がよく使われます。
「人は生涯における総所得と総支出が一致するように合理的に行動する」として、所得が相対的に多い現役時代には合理的に支出を抑えて、上回った所得分は将来の(老後の)支出に充てるように残していく(=資産形成する)、という考え方です。
しかしここにも行動バイアスが出てきます。人は所得が多くなるとそれにつれて消費も増やす傾向が強く、将来のことを合理的に考えるよりも、目先の生活の充実に心を動かされるものです。
そのため所得が増えたにも関わらず、将来の生活を支える資産がそれほど増えないといったことが起きがちです。特に消費は感情に左右されやすいものです。
こうした理性よりも感情が力をもってしまいがちなお金との向き合い方のなかで、どうすればより合理的にライフプランを考え、作り上げていけるでしょうか。そのために、感情を抑制するように働く“ルール”を決めて、それを実行することが必要になります。
資産形成を優先するちょっとしたルール
たとえば、毎月、頑張って節約をして収入のなかから資産形成用の資金を捻出しようとしても、なかなかうまくいかないことが多いものです。
「今月は旅行に行ったから」、「お友達の誕生日があったから」など、消費は感情に左右され、使ってしまった資金を「仕方がない」として認めがちです。その結果、「今月は資産形成に充てる資金を見送らざるを得ない」ということになりかねません。
それを抑制するには、毎月の収入から先に資産形成用の資金を取り分けて、その残りで生活をするというルールを組むことです。具体的には、給与天引きや口座引き落としで自動的かつ強制的に資産形成するようにすることです。
「収入 − 消費 = 資産形成」から「収入 − 資産形成 = 消費」へと家計の考え方を変えると、感情に左右されにくいお金との向き合い方を創ることができます。
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