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ビジネスケアラー"抱え込むな"介護と仕事は同じ 「家族と介護サービスのプロによるチーム戦」

東洋経済オンライン / 2023年12月11日 19時30分

介護は1人で抱え込まず、チームでやるのが原則です(写真:buritora/PIXTA)

NHKの『クローズアップ現代』で取り上げられたこともあり、関心が高まっている「ビジネスケアラー」。ビジネスケアラーとは「働きながら介護をする人」のことで、特に団塊の世代が75歳以上となる2025年には、誰もが介護と関わらざるを得ない“大介護時代”が到来すると言われています。「働き盛りの介護」は、もはや他人事ではないのです。

介護と仕事の両立支援サービスを手掛けるリクシス副社長・酒井穣氏の著書『ビジネスケアラー 働きながら親の介護をする人たち』から、一部を抜粋・編集のうえ、介護を1人で抱え込まない大切さについて考えてみます。

母の介護を1人で抱えていた男性のケース

ある認知症の実母を介護している男性(実母から見た息子)のケースです。彼は奥さんと子ども2人と一緒に、実母と同居して介護をしていました。

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この男性は、実母の認知症の症状によって、家族の気が休まらないことを、常に申し訳なく感じていました。実際に彼はたびたび、そのような言葉を介護職(ヘルパーやケアマネジャー)に対して漏らしていたそうです。

しかし、介護職が奥さんと子どもに個別に介護の負担について聞いてみると、この介護についてはそれほど負担を感じてはいなかったのです。

むしろこの男性が介護を抱え込みすぎていることのほうが心配だと伝えたそうです。もっと家族の皆で考え、協力して介護に向き合えばいいのに、責任感から彼は1人で苦しんでいるように見えたとのことでした。

つまりこの男性の場合は、介護を家族に任せることなく、1人でこなそうとしていることが、かえって家族の精神的な負担になっていたわけです。責任感を持って介護に臨むことは素晴らしいことですが、それだけでは、必ずしも理想的な介護につながるとは限らないのです。

介護職はこの家族の家族会議に同席し、その場で奥さんや子どもに思いを話してもらいました。そしてこの男性が1人で抱えていた介護の一部を、奥さんや子どもとも分かち合う、という合意に導いたそうです。

さらにその場で、家族でやらなくてもよいことも見つけ、適切な介護サービスの導入も実現しました。

もちろん、これだけで認知症の介護からくる負担がゼロになったりはしません。この男性の介護負担がどこまで減ったかは、はっきりしたことは言えません。ただ、この家族は、お互いの気持ちを正直に伝え合うことによって、より優れたチームになれたのではないでしょうか。

介護とはマネジメントである

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