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デザイン思考の壁を突破する哲学シンキングとは 哲学はビジネスの場面で大いに活用できる

東洋経済オンライン / 2023年12月19日 14時0分

「哲学シンキング」とはどのようなものか、実際にどのように活用するのか解説します(写真:wavebreakmedia/PIXTA)

海外では、企業が事業を行う際に哲学を活用する例が増えていますが、日本でも、複数の大手企業が導入するなど、その流れは広がりつつあります。日本初の「哲学コンサルティング会社」を設立し、『本質を突き詰め、考え抜く 哲学思考』を上梓した吉田幸司さんに、哲学シンキングとはどのようなものか、実際にどのように活用するのか、解説してもらいます。

「哲学シンキング」と「デザイン思考」の関係性

私が考案したメソッド「哲学シンキング」が大手企業に取り入れられたり、メディアで反響を呼んだりするようになったきっかけは、それをデザイン思考と対比して位置づけたことにあります。

デザイン思考にはいくつかの流派があるものの、IDEO(アメリカのデザインコンサルティング会社)やスタンフォード大学で確立されたデザイン思考では、次の図のように5つのステップを踏んでいきます。

まず、プロダクトやサービスを利用するユーザーに寄り添うように「観察・共感」からスタートします。続いて、そこから得られたインサイト(洞察)やPoV=Point of View(着眼点)をもとに、どんな問題があるかを定義する「問題定義」があります。

そのうえで、その問題を解決するための「アイデア創造」があり、迅速かつ安価にプロダクトやサービスの「プロトタイプ(試作)」を行います。

最後に、それについて「評価」します。この一連のフローを繰り返すことで、目指すべきプロダクトやサービスの開発・改良を行っていきます。

私が起業した2017年には、すでに数多くの企業がデザイン思考を取り入れていました。しかし、同時に誤解も広まっていた時期でした。

デザイン思考は、デザイナーが暗黙裡に行っている思考とプロセスを、デザイナーではない人、とりわけビジネスパーソンができるようにメソッド化されたものです。デザイン思考を学び始めた一部の企業人は、そのとおりステップを踏めば「イノベーション」を起こせるだろうと思いました。つまり、デザイナーが斬新な視点や発想のもとに問題を解決できるように、デザイン思考を習得すればイノベーションを起こせると期待したのです。

その結果、さまざまな企業にデザイン思考を習得した「デザインシンカー」が所属することになったのですが、実際のところ、デザイン思考とは早く安価に失敗し、その失敗をもとに改善・問題解決していく思考だったのです。

デザイン思考が誤解されてきた

元来のデザイン思考はビジネスにおいて有益であるものの、日本企業に導入される際、それが誤解・形骸化されることでさまざまな問題が生じてきます。

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