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スカイツリーの下、深夜0時に開く謎の食堂の正体 気がつけば営業64年、82歳店主の自由すぎる運営

東洋経済オンライン / 2023年12月19日 12時20分

キクヤ食堂の店主・竹之内雅巳さん。昭和34(1959)年に父から店を受け継ぎ、以来64年働き続けてきたという(写真:著者撮影)

あたりを川に囲まれ、東京を代表する下町として知られる墨田区。ここ十数年の間に、東京スカイツリーや東京ソラマチ、すみだ水族館などの新しい施設が続々と誕生して、人の流れも景色も変化している。

【写真】令和とは思えない、「キクヤ食堂」の様子…これぞ昭和遺産だ!

一方で、その東京スカイツリーのふもとには、令和の時代のお店とは思えないほどのノスタルジックな雰囲気の「キクヤ食堂」がある。店主の竹之内雅巳さん(82)は、昭和34(1959)年に父からお店を継いで以来、64年働き続けているのだという。

以前一度訪問して、その独特の存在感が気になっていた。そこで、今回改めて訪れてみることにした。

深夜0時に開くカレーが有名な食堂

東京スカイツリーからほど近い交差点の角に位置する「キクヤ食堂」。店の外には目立った看板もなく「キクヤ」と書かれた小さな紙が入り口に貼られているだけ。営業中は暖簾がかかっているものの、ぱっと見るだけでは食堂だとわからない。

さらに変わっているのはその営業時間だ。深夜0時から14時まで。あたりの商業施設からは灯が消え、人々がそろそろ寝静まろうかという真夜中に、キクヤ食堂の1日は始まるのである。

店内は古き良き食堂といった趣。壁には、針が止まった古時計が掛けられたままになっている。これは、昔店を建て替えた際に周辺の商店から寄贈されたものだという。八百清、銚子屋、遠藤豆腐店……と寄贈してくれた店の屋号が刻まれているが、これらの店は、今はもう姿を消してしまった。

ピリリと辛い、出汁が利いたカレー

食事メニューはカレーがメインだ。

「うちはね、インターネットで検索するとカレーの店って出てくるの。今はみんなインターネットでしょう。だからね、初めて来るお客さんは、みんなカレーを注文するんだよ」

名物のカレーは、実家のカレーのような素朴な佇まいだが、意外にもピリリと辛い。添えられた赤い福神漬けがまたいい。出汁が利いた奥深い味わいで、豚肉や人参、玉ねぎ、キノコと大きめに切られた具材がゴロゴロ入っており、一皿で心地よい満足感がある。別メニューのハムエッグは700円(※2023年10月取材時点の価格。値段は変更される可能性もあります)なのに対し、カレーは300円と不思議な値段設定。理由は手間の違いだという。カレーはまとめて作り置きしているからこそ、この値段で提供できるそうだ。

「辛いのがいいっていう人が多いんだよね。そういう人にはもっと辛くできるよ」

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