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中国自動車大手が「インド戦略」を転換した事情 上汽集団、現地子会社をインド企業との合弁に

東洋経済オンライン / 2023年12月19日 17時0分

上汽集団はインドの工場でMGブランドの5車種を現地生産している(写真はMGインディアのウェブサイトより)

中国の国有自動車最大手の上海汽車集団(上汽集団)は11月30日、同社のインド子会社のMGモーター・インディア(MGインディア)に戦略投資家の出資を受け入れ、合弁会社化すると発表した。

【写真】JSWグループは上汽集団との戦略提携をテコに、EV関連事業の拡大を目指す。写真はロンドンで行われた提携調印式

インドの大手コングロマリット(複合企業)のJSWグループがMGインディアの第3者割当増資を引き受け、増資後の発行済株式の35%を取得する。この取引に関して、上汽集団とJSWはロンドンで戦略提携契約に署名した。ただし、計画の実施にはインドの関係当局の承認が必要になる。

上汽集団は2017年、アメリカ自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)がインドのグジャラート州に保有していた工場を32億7500万元(約681億円)で買収し、MGインディアを設立した。工場の改修工事を経て2019年から現地生産を開始し、現在はEV(電気自動車)2車種を含む5車種を生産・販売している。

安定経営の確保が課題

MGインディアの2023年1月から10月までの販売台数は5万2000台と、前年同期比3割増加。インド市場の自動車メーカー別の販売台数ランキングで第8位、EVに限れば第2位につけている。

だが、インド政府が中国系企業への締め付けを強化するなか、MGインディアは安定した経営の確保という課題を抱えていた。

2023年6月には、現地メディアが「上汽集団はMGインディアの経営権を失うかもしれない」と報道。それに対して、MGインディアのCFO(最高財務責任者)を務める周江氏は、「中国企業が単独で対インド投資を拡大するのは難しくなるだろう。上汽集団としては、インド現地の投資家と手を組みたい」とコメントしていた経緯がある。

MGインディアへの出資を決めたJSWグループは、インド有数の規模を持つ製鉄事業を中核に、エネルギー、インフラ、セメント、ベンチャー投資などさまざまな事業を手がける。同グループの時価総額は、インド企業のなかでもトップ5に入っている。

「今回の協業の目的は、EVのエコシステムの構築を通じて、この領域における(インド市場での)リーダーになることだ」。JSWグループのプロジェクト責任者を務めるパース・ジンダル氏は、上汽集団との提携の調印式でそう述べた。

中国とアメリカに次ぐ市場規模に

約14億の人口を要するインドは、自動車市場の潜在成長力が極めて大きい。2022年の市場規模は472万5000台に達し、国別で日本を抜いて(中国とアメリカに次ぐ)世界第3位の自動車市場に浮上した。

現在のインド市場で最も成功している自動車メーカーは、日本のスズキの現地子会社であるマルチ・スズキだ。同社は2022年に157万台を販売し、インドの乗用車市場で4割超のシェアを握っている。

世界の自動車市場でEVシフトが進むなか、上汽集団を含む中国メーカーがインド市場で勢力を拡大できるか、注目される。

(財新記者:安立敏)
※原文の配信は12月1日

財新 Biz&Tech

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