公取委が損保のカルテル問題で立ち入り検査 コスモ、シャープ、京成電鉄などの契約が対象
東洋経済オンライン / 2023年12月19日 20時0分
大手損害保険会社による保険料カルテル問題をめぐって、公正取引委員会がついに立ち入り検査に踏み切った。
【写真】東京海上日動火災保険が公取委による立入検査を受けたことを知らせるリリース
12月19日午前、独占禁止法違反の疑いで検査に入ったのは、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損保の4社だ。
大手企業向けの共同保険で事前調整の疑い
各社は主に大手企業向けの共同保険(複数社で保険を引き受ける仕組み)や官公庁向けの保険で、提示する保険料の水準や団体割引率を担当者間で事前に調整したり、単独で引き受ける場合はどの社が幹事会社になるかをすり合わせたりした疑いがある。
公取委が今回の検査で対象としている取引は、京成電鉄、コスモエネルギーホールディングス、シャープ、JERA、東京都、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構との損害保険契約だ。
カルテルの疑義がある契約を仲介した保険代理店の共立や東京エイドセンターにも並行して立ち入り検査に入っている。
大阪府に本社があるシャープとの取引では、東京海上、損保ジャパン、三井住友海上の3社の関西営業部にも検査が入った。東京都内にある大手損保4社の本店営業部や代理店への検査も合わせると、公取委の検査態勢は総勢で80人前後にのぼるとみられる。
日産自動車やENEOS、警視庁なども
カルテル問題をめぐっては、今春に東急グループ向けの企業財産包括保険(火災保険)や賠償責任保険で、4社がカルテル行為に及んでいたことが発覚した。
その後、金融庁が保険業法に基づく報告徴求命令を複数回にわたって発する中で、前出の企業のほかに日産自動車や成田国際空港、石油元売りのENEOS、警視庁など広範な業種で疑義があることが判明している。
公取委は今夏から、金融庁とは別に、東急の案件を手始めにカルテルの疑義について調査を開始した。その後、カルテルや談合の疑義がある企業・団体が150を超えることが分かり、調査の対象範囲を広げる必要があると判断。損保側の課徴金減免を狙った自主申告などに基づいて、今回、京成電鉄など6社・団体との取引を検査対象としたもようだ。
折しも損保ジャパンは、ビッグモーターの保険金不正請求問題で金融庁から立ち入り検査を受けている真っ最中だ。新たに公取委の検査も加わったことで、大きな負担を強いられそうだ。
中村 正毅:東洋経済 記者
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