「親に合わせる」が癖になった子が将来背負うもの 子ども時代の心の痛みは大人になっても残る
東洋経済オンライン / 2023年12月20日 6時50分
「毒親というほどではないけれど、親との関係がしんどい」
そんな親に対する“モヤモヤ”は、大人になった今だから表れた「癒し」の知らせかもしれません。SNS・ブログで人気の心理カウンセラー・寝子さんの著書『「親がしんどい」を解きほぐす』より一部抜粋・再編してお届けします。
子どものころに起きていた心の状態
親に対するしんどい気持ちは軽くしたいですよね。そのため、「このモヤモヤをなくすにはどうしたらいいだろう?」と悪いもののように捉え、追い払おうと行動したくなります。
けれど、感情や感覚は、なくそうとすればするほど強まってしまうものです。
その気持ちがどこからきて、今何を知らせているのかを的確に捉えることこそ、抱えているしんどさを解きほぐし、ご自身を深く癒すことにつながります。
つまり、ご自身のモヤモヤの正体を知ると癒しが始まることが多いのです。
そこで、親との間に起きる自分の感情に気づき、さらには癒しにつなげていくために、少し過去に遡ってみましょう。
私たちは、さまざまなことを過去から学び、今の自分を作っています。そういう観点では、親という存在の影響はとても大きいものです。今の自分の感情に気づこうというとき、子どものころの自分と親との関わりに、たくさんのヒントを見つけることができます。
私たちが子どもだったころ、どのような心理作用が起きていたのか、ひもといていきたいと思います。
成長の過程で、身体が発達していくように、感情も発達していきます。
私たちの感情は「快か不快か」といった未分化な状態から、「嬉しい」「楽しい」「悲しい」など、さまざまな心理状態を体験できるように豊かになっていくのです。
このように感情が耕されるためには、親からの関わりで“安心感”を得ながら、親を通して自分の感情を知っていく過程を経ることが必要になります。
子どもの健全な発達のためには、「養育者が子どもに合わせながら調子を整えてあげることを繰り返していく過程」が非常に重要であるとされています。
具体的には、「ぐずっている子を親が抱っこしてなだめる」といった身体的な調整から、「怖かったね」「どう思う?」などの気持ちの言語化を助けるものまで、感情は“聞かれて”“呼応されて”耕されていきます。
そのような体験の積み重ねによって、私たちは自分で自分の気持ちが理解できるようになっていきます。そして、お互いに感情が伝わり合うからこそ、親の優しさや温かさが子どもを落ち着かせることになります。
親の感情は子どもに移る
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