鉄道会社は「迷惑客」の乗車を拒否できないのか 宿泊施設は法改正でカスハラ客の拒否が可能に
東洋経済オンライン / 2023年12月20日 6時30分
旅館に泊まるとき、予約した際に伝えたことが伝わっていないことがある。私もエクストラベッドをお願いしていたのに入っていなかった、などということもあった。そのようなとき、旅館側から望外のサービスを受けることもある。
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これはあくまでも旅館側の厚意にすぎないが、日本では厚意を当然にしてくれることととらえる人や、旅館のささいなミスに乗じて無理難題を突きつける人がいる。
知人の旅館経営者からは、予約サイト利用者から「新築の旅館として予約したのに違う!」と言われ、客の勘違いであったのに当日キャンセル料も払わずキャンセルされた、ということも聞く。
旅館業法は宿泊拒否の対象拡大
旅館でのいわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ=顧客による迷惑行為)対策として旅館業法が改正、2023年12月13日に施行された。
これまで旅館業法では、公衆衛生や旅行者の利便性確保のために、旅館側の顧客選択の自由を制限して原則宿泊拒否してはならないと定め、伝染病患者、違法行為や風紀を乱す行為をする恐れがあるとき、施設に余裕がないときなどの例外的な場合にのみ宿泊拒否可とされていた(旅館業法第5条)。
この宿泊拒絶理由を広げカスハラ者も対象にするというものである。具体的には、同条を改正し、宿泊料の減額や実現が容易ではないことを求める者、従業員の心身に負担を与える乱暴な言動を交えた要求で必要以上の労力を求める者の宿泊拒絶ができるようになる。
カスハラ被害と言えば、鉄道の現場でも後を絶たない。酔客による迷惑もよく聞くし、通過駅に停めるように執拗に要求するという話を聞くこともある。
ここ数年は鉄道好きの撮影者による係員への暴言、列車の緊急停止などの迷惑行為(犯罪行為を含む)も取り上げられるようになってきた。「撮り鉄」という言葉が蔑称にも聞こえるくらいである。鉄道でも迷惑防止の強化が叫ばれる世の中になった。
旅館業法の改正と同様、鉄道関係の法令も迷惑防止のために改正されるべきなのだろうか。
何をしてもいいわけでない
鉄道営業法では、違法行為や善良な風俗を乱す可能性があるとき、天災などにより運送が不可能なとき、鉄道での輸送にふさわしくないときなどの理由がない限り、輸送を希望する者の乗車を拒むことはできないと規定されている(第6条)。
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