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脱毛サロン「銀座カラー」破産に追い込まれた裏側 美容関連の「前金ビジネス」の倒産が相次ぐ

東洋経済オンライン / 2023年12月23日 7時10分

倒産した脱毛サロン「銀座カラー」渋谷109前店の看板(写真:東京商工リサーチ、12月16日撮影)

12月15日の夜、衝撃のニュースが駆け巡った。脱毛サロン「銀座カラー」を展開するエム・シーネットワークスジャパン(東京都港区)が、ホームページに「破産手続開始決定のお知らせ」を掲示したのだ。負債総額は約58億円、債権者(被害者)が約10万人にのぼる大型倒産はSNSなどを通じて瞬く間に広がった。

【画像】「銀座カラー」運営会社に対する信用調査で明らかになっていた資金繰り

多くの被害者を生み出した同社の倒産劇の背景を東京商工リサーチ(TSR)が追った。

積極的な広告宣伝と出店攻勢

エム・シーネットワークスジャパンは1993年に脱毛専門のエステサロン経営を目的に設立された。当初は銀座店のみを運営していたが、2010年代から「銀座カラー」の屋号で積極的に全国出店に打って出た。

脱毛専門サロンの分野では、銀座に置いた本店や業界の中では長い業歴もあって一定の信頼を得ていた。さらに、通い放題プランなどを全面に押し出し、若年女性を中心に顧客を獲得していた。また、知名度の高い女優や俳優を起用したCMなど大々的なメディア広告で新規集客を募った。

ただ、会員が増えると「予約が取りにくくなる」のが脱毛サロンの常だ。エム・シーネットワークスジャパンは、「予約が取りにくい」というマイナスイメージを払拭し、新規契約を増やすため、多店舗展開を図っていた。銀座や渋谷、横浜など、首都圏の一等地を中心に、各地の主要都市に進出し、店舗網を拡大。ピーク時は全国に約50店舗を構え、顧客数は80万人以上と自称していた。

こうした拡大策が功を奏し、売上高は2020年4月期には125億6130万円と10年前の6倍以上に急拡大。知名度もアップし、脱毛サロン大手の一角を担うまでに急成長した。

コロナ禍で事業環境が激変

ところが、新型コロナウイルス感染拡大で事業環境が暗転する。コロナ禍で多くの店舗が一時的に休業や営業制限を迫られ、外出自粛などの浸透も利用者の急減に拍車をかけた。コロナ禍の2021年4月期の売上高は約100億円にダウンし、11億753万円の最終赤字を計上して債務超過に転落した。

長引くコロナ禍で新規集客が遅れる一方、医療脱毛の低価格化が進み、競争はさらに激しさを増していた。厳しい環境が続き、生き残りをかけて店舗の統廃合を進めたが、事態は悪化の一途をたどった。

最後の決算となった2023年4月期の業績は、売上高が45億1932万円にとどまり、14億7750万円の営業赤字に沈んだ。店舗の閉鎖費用が主体とみられる特別損失は10億円を超え、最終赤字は23億1130万円に膨らんだ。期末の債務超過額は65億円に達し、社会保険料の滞納額は8億円を超えた。

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