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血圧高め放置で「心筋梗塞リスクは約8倍」の怖さ 降圧薬の種類や使い方、やめ時を専門医に取材

東洋経済オンライン / 2024年1月5日 10時0分

「高血圧だけが問題となっている人に最初から使用することはありませんが、慢性心不全や心肥大がある人には、向いている薬といえます」と鳥羽医師。

なお、薬を飲んでも血圧が下がらない場合、「2次性高血圧」といって、腎臓の病気やホルモン分泌の乱れなど、別のところに理由があって血圧が上がっていることがある。

鳥羽医師によると、若い世代の高血圧ほどこの割合が高いので、薬が効かない場合は、検査で病気が隠れていないかどうかを探っていくという。

血圧が下がれば薬はやめられるのか

降圧薬は、一生飲み続けなければならないという印象を持つ人も少なくない。確かに降圧薬によって血圧が下がったとしても、それは薬の作用であり、やめると再び血圧は上がる。鳥羽医師はこう話す。

「禁煙や減塩、減量など生活習慣の改善によって、血圧が下がれば、薬をやめられる人はいます。ただし、一度硬くなった血管はもとには戻りません。高血圧は動脈硬化を進め、動脈硬化が進むと、さらに高血圧になるという悪循環に陥ります」

動脈硬化がそこまで進んでいない、30代、40代のうちに、生活習慣の改善や降圧薬によって対策をとることが大事だという。

一番やってはいけないのは、血圧が下がったからと自己判断で薬をやめるという行為だ。脳心血管病のリスクを上げるだけでなく、治療を再開するときには薬を増やさなければならない、といったことも起こりうる。

知っておきたい降圧薬の副作用

では、降圧薬の副作用にはどのようなものがあるのか。

とくに高齢者は薬によって血圧が下がりすぎて頭痛や動悸、めまいといった症状が出ることもある。

「血圧を下げ過ぎないためにも、降圧薬は少量から開始するのが鉄則ですが、そのさじ加減は難しい。例えば、体重が減った場合、血圧は下がりやすく、夏の間は血圧が下がるという人もいます。同じ薬を同じ量で続けるのではなく、血圧の変動に合わせて、こまめに調整することが必要だと思います」(鳥羽医師)

そのためにも頻繁な血圧測定は不可欠だという。

誤解されやすいが、降圧薬の真の目的は血圧を下げることではない。それより大事なのは、動脈硬化や臓器の障害を防ぎ、脳心血管病を予防することだ。

「薬を漫然と飲むのではなく、定期的に首のエコー(頸動脈超音波検査)で動脈硬化の程度を調べてもらったり、心臓や腎臓などに問題がないか検査を受けたりすることが大事です」(鳥羽医師)

首のエコーについてはこちらをご覧ください(コレステロール高めの人、「肉断ち1カ月」のススメ)

(取材・文/中寺暁子)

東京都健康長寿医療センター 循環器内科医長
鳥羽梓弓医師

2006年、千葉大学医学部卒。東京医科歯科大学大学院卒。老人医療センター(現:東京都健康長寿医療センター)にて研修、医員を経て2023年より現職。日本高血圧学会高血圧専門医・指導医、日本循環器学会循環器専門医、日本老年医学会認定老年病専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医。

東洋経済オンライン医療取材チーム:記者・ライター

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