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「40系気動車が消える」JR氷見線・城端線の今後 LRTやBRT構想を経て、第三セクターに移管

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 6時30分

工場地帯を控えた能町駅。かつては複数の貨物列車が出入りしていた時代もある。本格的な冬に備えて消雪スプリンクラーが作動中 (写真:山下大祐)

鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2024年3月号「氷見線・城端線の40系気動車」を再構成した記事を掲載します。

JR西日本は大量の40系を保有

富山県高岡から南へ29.9kmの城端線と北へ16.5kmの氷見線はともに国鉄型40系気動車の牙城としてクローズアップされる。立山を望む砺波平野や富山湾沿いの風景も美しく観光列車「べるもんた」も活躍する。その一方、両線をJRから地元第三セクターのあいの風とやま鉄道に移管する鉄道事業再構築の取り組みもいよいよ具体的に動き出した。

【写真】JR氷見線の越中国分ー雨晴間。晴れれば白銀の立山連峰を望む雨晴海岸だが激しく波が打ち付ける光景も冬ならでは。

JR西日本は発足時に国鉄から257両の40系を引き継ぎ、2022年度末でもそのほとんどの252両を保持している。JR東海では2016年を最後に0となり、JR東日本は秋田地区でのGV-E400系置き換えを最後に観光用途以外は消え、その観光用も淘汰に入っている。JR北海道も国の支援を受けた再建計画の中でDECMOへの置き換えが進展している。

JR西日本の保有数は各社中においても破格の多数で、JR九州の約3倍になる。裏を返せば、ローカル線の車両更新をまったく進められない台所事情ということになる。

しかしここにきて、城端線・氷見線に関わる大きなニュースが矢継ぎ早に報じられている。両線をJR西日本からあいの風とやま鉄道に移管し、地元で持続可能な新たな交通体系を構築、運営してゆくこととし、その中で車両も新しくすることが決定されたのである。

この話のそもそもは氷見線と城端線の直通化案にある。現あいの風とやま鉄道が北陸本線だった時代から、南北に分かれていた両線を結べば便利になるとして、地域の懸案事項ではあった。それが北陸新幹線の駅が高岡でなく新高岡になったことで、課題として一気に大きくなったのである。高岡市は街の構造、既存の交通体系の大転換を強いられている。影響は氷見なども同様である。そのため氷見線を国土軸である新幹線に直結させ、便利で太い交通の便を構築する。高岡は氷見線側を中心部とし、高校も集まるので、直通は城端線方面にも恩恵が大きい。

だが、富山県と城端・氷見線沿線4市、JRでテーブルにつき2線の直通化を協議したところ、自明ながら高岡駅構内の大改造が必要であり、しかもそれを実施しても、貨物列車が走る元北陸本線という幹線ルートの横断は日に8往復が精一杯という結果が、調査委託先のコンサルタントから示された。そのため別途、学識者が近鉄西大寺や阪急淡路を事例調査し、その結論に疑問を呈している。だが、ともかく万事が大きな国鉄〜JRのシステムにあっては、隙を縫うような機敏な信号設備に作り替えるには額を要する。

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