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"複数の言語を話す"が脳の健康に良いという真実 人間がAI時代に外国語を学習する意味は何か

東洋経済オンライン / 2024年2月7日 17時0分

バイリンガルであることも、加齢に伴う認知力低下を抑える働きがあることがわかってきました(写真:Fast&Slow / PIXTA)

AIなどテクノロジーの力を借りれば、楽に翻訳ができるようになった今、あえて人間が外国語を学び、自らの言葉として習得する必要はあるのだろうか。そう疑問を持っている人もいるでしょう。

しかしアメリカ・ノースウエスタン大学教授で、心理言語学者のビオリカ・マリアンさんは、複数の言語を話す能力によって創造性の扉が開かれ、脳の健康や認知をコントロールする力も手に入る、と語ります。

ビオリカさんの著書『言語の力 「思考・価値観・感情」なぜ新しい言語を持つと世界が変わるのか?』から一部を抜粋し、「外国語を学ぶと脳に何が起きるのか」最新研究をもとにした記事をお届けします。

「バイリンガル」であるかが健康長寿に貢献?

人類が追い求める聖杯といえば、永遠の若さを与えてくれる不老不死の薬だろう。この聖杯を探す旅は、聖書と同じくらいの歴史がある。そして現在、私たちは「ブルーゾーン」と呼ばれる場所を研究している。

【画像で見る】ジュリアン・ムーアが認知症を発症した言語学者を演じた映画『アリスのままで』

ブルーゾーンとは、健康長寿の人が多く暮らす地域のことだ。地球上の他の場所に比べて平均寿命が長く、100歳を超えている人の割合も高い。

研究の目的は、高齢になっても健康を保ち、寿命を延ばす秘訣を探ることだ。たしかに「聖杯」はまだ見つかっていないが、健康長寿に貢献していると考えられる要素ならいくつかわかってきた。

特に大きな要素は、運動、栄養教育だ。そしてバイリンガルであることも、加齢に伴う認知力の低下を抑える働きがあることがわかってきた。

ここで想像してみよう。何年にもわたって毎日同じ道を通って帰宅していたのに、ある日その道が崩壊し、もう通れなくなってしまった。

他にも道がたくさんあるのなら、1本の道が通れなくなっても、他の道を通って帰ればいい。しかし、家に帰る道がそれしかなかったとしたら、あるいはあなたがその道しか知らなかったとしたら、道が通れなくなることは大きな問題だ。

脳の中の通り道もそれと同じだ。1つの道が劣化し、もう記憶や情報にたどり着けなくなったとしても、マルチリンガル(複数の言語を話す人)の脳内には他にも道がある。

長年にわたって複数の言語を話してきた結果、違う言語の単語、記憶、経験などが蓄積し、たくさんの神経の通り道が形成されてきたからだ。

最新の研究でわかってきたこととは?

夫の母親のウィルヘルミーナはオランダ人で、年齢は80代だ。4カ国語に堪能で、頭もとてもしっかりしている。

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