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今度はスープをかけられた「モナリザ」受難の歴史 過去にはケーキやカップを投げられたことも

東洋経済オンライン / 2024年2月7日 12時10分

カボチャのスープをかけられたモナリザ(提供:AP/アフロ)

「モナリザ」の評価額は1200億円!?

フランスの環境活動家らが1月28日、パリのルーブル美術館に展示されているレオナルド・ダ・ヴィンチの最高傑作『モナリザ』にカボチャのスープを投げつけ、「健康的で持続可能な食べ物」への権利を訴えた。

『モナリザ』は16世紀の西洋絵画で、世界に存在する美術作品で最高の保険価値が想定され、市場に出回ることはないにせよ、その評価額は約8億6000万ドル(約1276億円)と推定され、1枚の絵としては文字通り世界で最も高額の作品だ。

『モナリザ』は来館者が酸をかけたことで破損した1950年代以来、ガラスで守られており、作品に損傷はなかった。

襲撃した環境活動家は作品の前で「どちらが大事ですか? 芸術と健康で持続可能な食べ物を得る権利と?」と主張した。Riposte Alimentaire(食べ物の反撃)と呼ばれるグループが犯行声明を出した。

折しもヨーロッパでは、欧州連合(EU)の環境規制をめぐり、農民が大規模な抗議デモを決行している最中だった。

年間1000万人を超える来館者を誇るルーブル美術館で、半数は『モナリザ』目的で来館するといわれている人気作品だ。ダ・ヴィンチの人気も高く、2019年10月〜2020年2月に開催されたダ・ヴィンチの「没後500年の特別記念展」の来館者数は110万人と、史上最多の動員を記録した。

当時は黄色いベスト運動の過激なデモが毎週末パリで行われていた。さらに2019年12月からはフランス政府の年金改革に抗議するゼネストが行われ、公共交通機関が1カ月以上機能不全に陥り、ルーブルの職員もストに加わって美術館は何度も閉館した。過去最多の来場者数はそんな中での記録だった。環境活動家は、『モナリザ』の前で抗議を行うことで、世界中から注目を集められると考えたのだろう。

襲撃を受けたのは今回だけではない

『モナ・リザ』が襲撃されたのは今回だけでない。その歴史をたどると受難だらけだ。

そもそも『モナリザ』が世界的に知名度を得るきっかけとなったのは、1911年にイタリアのガラス職人ヴィンチェンツォ・ペルージャによって盗まれたからだった。その年、ペルージャと他の2人は同作品を守るガラス設置作業に参加していた。クローゼットに隠れ、閉館後、当時ダ・ヴィンチのマイナーな作品とみなされていた『モナリザ』を持ち出し、パリのアパートのベッドの下で2年間保管した。

この盗難事件がフランス国内外で報道され、『モナリザ』の消えた展示室を見る人々が集まったという。当時、ピカソも盗難容疑者として浮上した。2年後、イタリアに戻ったペルージャの盗難動機は、ダ・ヴィンチ作品はイタリアにあるべきというものだった。作品の存在を知ったフィレンツェの古美術商が当局に通報し、逮捕された。

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