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高評価「FF7リバース」遊んで驚いた"粗隠し"の妙味 フォトリアルな描写に「コミカル」設定を活用

東洋経済オンライン / 2024年3月14日 11時20分

もっとも、『FF7リバース』にはコミカルであるがゆえの代償も存在する。それはシリアスを阻害する可能性が出てくることだ。

もちろん、シリアスなシーンをまったく作れないわけではなく、食い合わせが悪くなる場所があるという話だ(何より、本作も終盤はさすがにシリアスで通している)。

本作では、「ダイン」という人物が登場する。彼もまた主人公たちと同じく、神羅に抵抗するテロリストだ。神羅の人間を殺しまくり、その手には血がこびりついている。精神状態もまともではない。

そんな彼の結末は書くまでもないように、物悲しいものである。このシナリオは凡庸だが、音楽のおかげでかなり悲壮な雰囲気を表現できている。

ただし、ダインが出てくることによっておかしなことも起こる。そう、クラウドたちはいったいなんなのだ、となる。クラウドたちもまた爆破テロを行うような集団にもかかわらず、海辺の街で水着に着替えて遊び、カードゲームに没頭しているのだから。

ダインはシリアスにやっているのに、クラウドたちはコミカル。温度差が激しすぎてまともに見ていられなかったというのが私の感想である。

ふざけているように解釈される可能性も

また、コミカルにすると「ギャグの面白さ」を求められるようになる。とあるシーンでは、クラウドが溺れた女性の胸部を圧迫しなければならないといった流れになる。

しかし、クラウドは胸を触ることにドギマギして何もできない。これは「普段はカッコつけているクラウドも実はウブ」という“いじり”である。

だが、これは本当に面白いのだろうか? 切羽詰まった場面で女性の胸を触ることを意識するのもどうかしているし、そもそも、このいじりもハラスメントといえる。好感を持てないギャグの場合、笑えるかどうか以前の問題になってしまうだろう。

このようにギャグを面白く受け取れないと、単に悪い意味でふざけているように解釈できてしまう。ストーリーの整合性は無視できても、笑いの品質が問われるようになっていくといえる。

なお、『FF7リバース』は全般的にキャラクター設定の癖が強い。筆者は、暗殺者であるユフィの「シュシュシュ」と言いながらパンチする様子をどうしても受け入れられなかった。この“ふざけ方”を受け入れられるかどうかで本作に対する評価は大きく変化するだろう。

「ヘンな格好」もコミカルならば受け入れられる

ギャグ化することによる代償について書いたが、しかし全般的に見ると『FF7リバース』のコミカルな雰囲気はよい方向に働いているだろう。やはりシナリオの粗を隠してくれるのも大きいが、メタ的なギャグを使えるのもよい。

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