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高評価「FF7リバース」遊んで驚いた"粗隠し"の妙味 フォトリアルな描写に「コミカル」設定を活用

東洋経済オンライン / 2024年3月14日 11時20分

主人公のクラウドも「カッコつけているけれども実はウブ」といじられる場面が多いし、筋骨隆々の「バレット」は仲間がボケたときのツッコミ役だ。暗殺者の忍者「ユフィ」は、その仕事内容と相反するように根っからの明るいキャラクターである。こういった要素は、リメイクによってより強調されているようだ。

このコミカルな雰囲気は、『FF7リバース』のストーリーをうまく覆い隠してくれる。逆にいえば、シリアスだと暗い設定に向き合わなければならないのだ。

2023年に発売された『ファイナルファンタジーXVI』もまたフォトリアルなゲームだったが、こちらはかなりシリアスだった。この作品の主人公である「クライヴ」は、世界中のエネルギー源を破壊していくテロリストである。

もちろん破壊にはきちんと理由があるのだが、描写が足りていないせいで受け手はクライヴの行動に疑問が浮かぶようになる。彼は世界中のエネルギー源を破壊する際に、数多くの庶民を犠牲にしている。にもかかわらず、それを大して気にしない。また、本作は人種差別というテーマを扱っているが、それに対して「差別したやつが因果応報に死ぬ」といった雑な展開を行ってしまっている。

シリアスであればあるほど、物語を真剣に描く必要が出てくる。そもそも「シリアス」という言葉が真面目・本格的といった意味であるのだから、複雑な問題を描く際には手を抜けないのである。

逆にいえば、シリアスでなければ真面目に描かなくても許される可能性がある。ギャグマンガで大爆発が起きたとしても次回で元通りになるのが許されるように、整合性を無視できる特徴を持っているのだ。それどころか、シナリオの違和感やつまずきさえもギャグにできてしまう。

コミカルに描くことで作り出される暗黙のルール

『FF7リバース』もまた主人公がテロリストなのだが、彼らの旅は明るく面白げなシーンが多く、コミカルである。そう、滑稽な雰囲気を見せつけることにより、「面白いなら細かいことには目をつぶろう」という、暗黙のルールを作り出しているのだ。

この作りはミニゲームやオープンワールドといった要素たっぷりな本作に向いている。コミカルでなければ「なぜ世界の危機なのに、自分はオープンワールドをウロウロしているのだろう?」と思ってしまうだろうし、「遊園地のミニゲームに熱中している場合ではないのでは?」と冷静になってしまうだろう。だが、コミカルな世界ならば些事である。

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