不正続発の大手損保は"ウミ"を出し切ったのか ビッグモーター、カルテル問題で処分も残る闇
東洋経済オンライン / 2024年3月14日 20時0分
【2024年3月14日18時30分追記】初出時の表現の一部を上記のように修正しました。
櫻田氏は昨春まで、経済同友会の代表幹事を務めていた。まさに日本を代表する金融機関のトップだった人物が、処分の甘さについて外部から指摘されなければ、そのまま逃げ切ろうとしていたわけで、開いた口が塞がらない。
翻って、ほかの大手損保はどうなのかというと、決して胸を張れるような状況ではない。
ビッグモーターと同じく、事故車修理費の不正請求疑惑が持ち上がっている、中古車販売大手のグッドスピード。昨秋に自主調査報告書をまとめ、1664件の修理案件のうち91件で不適切な請求の疑いがあると発表していた。
一方で、グッドスピードは同時期に不正会計も発覚。公認会計士や弁護士などによる第三者委員会を設置して徹底的な調査を行っている。
不正請求疑惑についても、幹事会社(代理申請会社)を務めるあいおいニッセイ同和損害保険を中心として、弁護士などによる第三者調査委員会を設置するように、昨秋から繰り返し求めていた経緯がある。
突如公表されたグッドスピードへのTOB
第三者調査について首をなかなか縦に振らないグッドスピードに損保各社が頭を抱える中、3月1日に突如公表されたのが、ガソリンスタンド大手の宇佐美鉱油による株式公開買い付け(TOB)だった。
不正疑惑に揺れる最中でのTOBに、損保各社のため息は止まらないが、早期の被害者救済のためにも、弱腰の対応は許されない。特にあいおいは、グッドスピードだけでなく、「宇佐美鉱油傘下の保険代理店の代申(幹事会社)でもある」(大手損保幹部)という。
不正疑惑の第三者調査の実現に向けて、圧力をさらに強めていかなければ、ビッグモーター問題の二の舞を演じかねない。
ビッグモーター問題は、中古車販売店だけでなく、トヨタ系ディーラーなど大手自動車メーカーの系列新車販売店に対しても、損保各社がいかに隷属しているかを浮き彫りにした。
ディーラーから損保が車両を積極的に買い上げたり、ディーラーのキャンペーンには二つ返事で損保が人員を派遣して営業協力(本業支援)したりする形で恩を売り、保険契約の獲得につなげようと汗を流していたわけだ。
ディーラーに対する優遇策の見直しは、損保における改革の1丁目1番地のはずだ。しかし、外部から指摘されない限りは「聖域」として温存しようとしているのではと、勘繰りたくなる事例が少なくない。
東京海上の特約はディーラーへの「営業協力」か
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