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国語の得意な子がやっている意外な読書法とは? 本にアートを掛け合わせ、読書を3倍楽しくする

東洋経済オンライン / 2024年4月3日 15時0分

少しずつ映像化ができるようになって、読書が楽しめるようになってきたら、挿絵の多い平易な本から、徐々に本のレベルを上げていくようにしましょう。本に書かれてある対象年齢はまったく気にしなくて構いませんから、お子さんが内容をきちんと理解できる本を与えてあげることが大切です。

こうしてサポートしてあげますと、ほとんどのお子さんが小学校中学年レベルの本までは、なんとか読んでくれるようになります。でもそこからあと一段レベルを上げて、高学年向け以上の本を進んで読んでくれるようになるには、もう一つ大きな壁を越えてもらわないといけません。

そんな時にも、私の教室ではアートの力を借りています。なぜなら、小学校高学年〜中学生に読ませたい「ギリシア神話」や「聖書物語」、西洋文学の数々は、それらをモチーフに創作されたアートに事欠かないからです。つまり、本だけで文学を楽しませるのではなく、本とアートを掛け合わせて読書を何倍も楽しんでもらおう!というわけです。

例えば、生徒に、そろそろシェイクスピアの4大悲劇ぐらい読んでほしいなあと思ったとしましょう。でも、いきなり「シェイクスピアを読もうよ」と言っても、難しそうだなと抵抗感を持つ子が多いんですね。そういう時には、ジョン・エヴァレット・ミレーの「オフィーリア」という絵画作品を事前に鑑賞してもらいます。絵を見て、オフィーリアがなぜ川の中に横たわっているのか?これからオフィーリアはどうなるのか?といったようなことを、まず自分で考えてもらうのです。

「読まされる読書」から「主体的な読書」へ

子どもたちは詳細に絵を観察し、真剣に絵の背景を考えてくれますので、すでにこの時点で「どうしてこんなことになったんだ?」「いったい何をしたいんだろう?」と、答えを知りたい気持ちはピークに達しています。そこで、「ハムレット」の本をぱっと本棚から取り出して、「実はこの女性、この本のヒロインなんだよね。この絵は本の中のワンシーンを描いたものだから、読んでみれば事情がわかるよ。読んでみる?」と本を渡すのです。

普通に「これ読んでみて」と難しそうな本を渡すのとは、全然違いますね。みんな、自分の想像が合っているかどうか気になって仕方がないのですから、それはもう喜んで読んでくれますし、「全然想像と違ってたよ〜」などと嬉しそうに感想を語ってくれます。

少々とっつきにくい本でも、こうして読むきっかけをうまく作ってあげると好奇心を持って読書してもらえますし、このような読書法を繰り返すうちに、だんだん点だった知識がつながり、教養になっていくのを自分で感じ始めます。すると、読書に対する意識が変わってくるわけですね。

「読まされる読書」から、知的好奇心を満たすための「主体的な読書」へ。読書の楽しさを知らない子どもたちが急激に増えている今、手間暇をかけてここまで連れていってあげるのも大人の役目なのかな、と思う今日この頃です。

久松 由理:イデア国語教室主宰

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