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近鉄一の「ザ・ターミナル」大阪阿部野橋駅の実力 乗降人員最多は「あべのハルカス」のおひざ元

東洋経済オンライン / 2024年4月4日 6時30分

「遅延や乗客のトラブルは少ない」

大阪阿部野橋駅の新澤数巳駅長は「天王寺の地名が有名なので、いまでも『阿部野橋駅はどこ?』とここで聞かれることはあります」と明かす。新澤駅長は吉野線沿線の出身。高校時代は南大阪線に乗って映画や買い物に出かけていたという。1984年に入社して最初に配属された駅も大阪阿部野橋。車掌や運転士、駅の助役、列車区長として南大阪線系統の経験が豊富だ。ほかに西大寺の教習所で330人ほどの運転士の養成に携わった。

新澤駅長は「乗降人員は近鉄で1番だが案外、遅延や乗客のトラブルは少ない」という。南大阪線は待避駅がいくつも設けられているほか、他線の遅れの影響も受けにくい。また、夜は郊外へ向かう利用が中心になるため早い時間帯に乗車する人が多い。谷口英志副駅長も「終着駅でよくあるように寝過ごして『何やここ、どこやねん』となってしまうケースはあまりない」と語る。

大阪阿部野橋駅は6面5線の頭端式ホーム。いかにも私鉄のターミナルという雰囲気がある。1・2番のりばは主に普通列車が使用していて日中も10分間隔で発着する。

準急も10分間隔、急行または区間急行は30分間隔で走る。3・4番のりばには同社線で初めてとなる昇降ロープ式ホームドアを設置した。

6番のりばは特急専用。吉野方面への観光利用のほか、通勤・帰宅時間帯の着席需要も旺盛だ。2023年からは、さくらライナーで運んできた奈良県大淀町の「朝採れ野菜」を、百貨店で収穫当日に販売する貨客混載輸送を本格運用している。

ずらりと並ぶ改札機

地上のホームをそのまま西に進むと西改札口。反対側の東改札口は地下にある。どちらの改札も利用者の多さを反映して改札機が横一列にずらりと並ぶ。朝はJRや地下鉄との乗り換えに便利な東改札口の利用が比較的多いという。地下には中改札口もある。中改札口と西改札口は百貨店の入り口に面している。

東改札口には鉄道向け自動改札システムがアメリカに本部を置く電気電子学会(IEEE)から歴史的業績を表彰する「IEEEマイルストーン」に認定されたことを示す銘板がある。

2007年の受賞当時の発表資料によると、1964年に大阪大学と近鉄によって乗車券の通用区間判定のための計算方法を開発。翌年、近鉄とオムロンが自動改札機の試作機を製作、実証実験を実施した。その研究開発をオムロンと阪急電鉄が引き継ぎ、1967年に北千里駅で自動改札システムの営業運用を始めた。1971年には近鉄が大阪阿部野橋駅を含む19駅に磁気カード式自動改札機を設置、関西の私鉄・地下鉄で導入が広まったとしている。

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