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目に余る「エイハラ」ベテラン差別する3つの元凶 「年齢」よりも見るべきメンバー選びの判断軸

東洋経済オンライン / 2024年4月9日 6時50分

この前提条件がおかしければ、「こうすればやる気がアップする」と言われても、論理的に正しくはない。

まだまだ実力がない若手社員にリラックスできる空間や、休みを多く与えることで何が起こったか? 一つにはやりがいのある仕事が回ってこなくなったことが挙げられる。

あたりまえだろう。「やりがい」は、解決困難な仕事をやり切ってはじめて味わうものだ。実力もなく、休みを多くとろうとする社員には単純作業しか任せられない。

しかもAIやRPAのほうが、安定した精度で仕事をしてくれるのなら、若手に仕事を頼もうとするベテラン社員はいない。そんな余裕はないのだ。その結果、若い社員たちは成長の実感を味わえないと感じて、会社を辞めていった。

前提と根拠を間違えたから、このような施策が通ってしまったのだ。

知識と経験が足りない人ほど自信過剰になる現象とは?

また、前提と根拠さえ合っていればいいかというと、そうでもない。問題の解決策として、事前知識をどれぐらい持っていたのか。正しく確認してメンバー選びをすべきだっただろう。

そもそも社員がやる気を出すにはどうしたらいいのか? モチベーションとは何か? エンゲージメントとは何か? 社員満足度とは何が異なるのか?

最低限の知識を踏まえたうえで検討しないと、単なる思いつきや聞きかじったアイデアしか出てこない。

そのため、新刊『若者に辞められると困るので、強く言えません』にも書いた、ダニング・クルーガー効果を頭に入れておこう。

ダニング・クルーガー効果とは、能力や経験の低い人ほど自信過剰になる認知バイアスのことだ。「優越の錯覚」とも呼ぶ。

20年近くコンサルタントの仕事をしていて、私は常にこの心理現象を目の当たりにする。アマチュアであればあるほど学習や鍛錬を怠り、プロであればあるほど謙虚に自分磨きを続けるものだ。

だからまだ未熟なのにもかかわらず、

「わかってる?」

と言われても、

「わかってます!」

と答えてしまうものだ。そして、このように自信過剰バイアスにかかっている人ほど、うまくいかなかった場合、他責にしがちだ。

自分の知識や経験が足りないことが問題ではなく、環境のせいにしたり、たまたまうまくいかなかっただけだと思い込む。

もちろん、挑戦することはいい。いろいろな知識や経験がなくても、このようなプロジェクトメンバーに参画することは、むしろいいことだ。

ただ実力不足の人は、自分自身で「実力不足」を検証することができない。「自覚しろ」と言われても、自覚するための知識や経験がない。

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