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「鉄路の夜明け」は路面電車、高知ご当地鉄道事情 0系新幹線の「そっくりさん」が走る絶景路線も

東洋経済オンライン / 2024年4月10日 6時30分

このように、いくらかひいき目に見たところで高知の鉄道は土讃線と土佐くろしお鉄道中村線・宿毛線によってほとんど説明が終わってしまうのだ。この土讃線系統の路線は、高知県に出入りするための大動脈であると同時に、県内鉄道ネットワークの根幹なのである。

愛媛の宇和島と結ぶ予土線

もちろんほかにも四万十川沿いを走る絶景路線の予土線や、こちらも土佐くろしお鉄道が運営して高知県東部、すなわち室戸岬方面を目指すごめん・なはり線も通っている。

予土線は窪川・若井―北宇和島・宇和島間を結ぶローカル線で、全線を走る列車は1日にわずか4往復。近年のローカル線への逆風の中で、例に漏れず存続の危ぶまれそうな路線ではあるが、車窓から望む四万十川は絶景そのもの。0系新幹線電車のそっくりさん、鉄道ホビートレインなども走っている。

土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線は、高知県の鉄道では唯一県の東側を走るローカル線だ。もともとは阿佐西線という名で計画され、ゆくゆくは室戸岬を大回りして徳島県南端の現・阿佐海岸鉄道阿佐東線と結ばれる予定だった。夢と潰えた計画の一部が、第三セクターによって継承されて2002年に開業している。着工から実に37年もの歳月を経た、地域の人々にとっては悲願の鉄道であった。

ごめん・なはり線のターミナルは土讃線と接続する後免駅。ただし、後免駅停まりの列車はわずかで、ほとんどは高知駅まで乗り入れる。沿線は総じて太平洋沿いの田園地帯。途中、安芸市内には阪神タイガースのキャンプ地にもなっている安芸市営球場の脇を通る。この縁から、阪神タイガースラッピングの車両が運転されている。

全線開業が遅かった

と、高知県の鉄道はこれが大部分である。そして特徴的なのは、これらがすべて完成したのは戦後になってから、ということだ。第三セクターの土佐くろしお鉄道などは平成以降の完成であり、予土線にしても全線開業は1974年だ。土讃線が全線開通したのも1951年である。

そしてそもそもの話をすると、高知県の大動脈・土讃線が高知県内ではじめて通った区間は須崎―日下間。大正時代も終わり頃の1924年のことだ。

つまり、高知県は歴史的にみて鉄道の開業が遅れに遅れた地域の1つといっていい。近代日本のリーダーたちを多く輩出した地域であっても、鉄道には恵まれない。このあたり、我田引鉄があたりまえの後の時代の政治家たちとはひと味違う、ということなのだろうか。

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