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カロリー削れば太らないと頑張る人を裏切る真実 エネルギーが過剰だから体脂肪が蓄積するのではない

東洋経済オンライン / 2024年4月13日 14時0分

単純化されすぎたこの理論は、誤った想定に基づいている。最も大きな誤りは「基礎代謝率、あるいは消費カロリーはつねに一定である」という想定だ。実際は、摂取カロリーを40%減らすと、すぐに基礎代謝率が40%減る。結果として、体重は減らない。

「体重は意識的にコントロールできる」というのも誤った想定だ。

人間の身体機能はどれも意識的にコントロールすることはできない。甲状腺、副甲状腺、交感神経、副交感神経、呼吸、血液の循環、肝臓、腎臓、消化管、副腎などの働きはすべて、ホルモンによって緻密にコントロールされている。体重や体脂肪率もホルモンによって厳格にコントロールされている。

実際、人間の体には体重をコントロールするために重層的に働くシステムがいくつもある。自然界で生き延びるのに最も大切なもののひとつである体脂肪を決定づけるのが、私たちが気まぐれで口にする食べ物だけであるはずがない。

ホルモンが空腹感をコントロールしている。つまり、ホルモンがいつ食べ、いつ食べるのをやめるかを体に伝えている。

「グレリン」は空腹を感じさせる強力なホルモンで、「コレシストキニン」「ペプチドYY」は満腹を感じさせて食べるのをやめるよう体に伝えるホルモンだ。

食べ放題のビュッフェにいるところを想像してみるといい。あなたはすでに山盛りの料理を何皿も食べていて、お腹は110%満たされている。

このとき、ポーク・チョップをあといくつか食べられるだろうか。そのことを考えただけで胸やけがするのではないだろうか。数分前に美味しいと思って食べたのと同じポーク・チョップなのに。

この違いは、満腹ホルモンが分泌されて食べるのをやめさせようとしているから生まれたのだ。人間は食べ物が目の前にあるかぎり食べつづけてしまうと思われているが、実際はそうはいかない。摂取カロリーはホルモンによって厳格にコントロールされている。

体脂肪が蓄積する本当の理由

体脂肪の蓄積は、じつはエネルギーが過剰であるから起こる問題ではない。「エネルギーの配分の問題」だ。

体熱を発生させたり、新しい骨組織を作ったりするエネルギーよりも、脂肪としてためこむエネルギーが多すぎることが問題なのだ。そして、何にエネルギーを使うかもホルモンによってコントロールされている。

「カロリーの摂りすぎが肥満を招く」という間違った考えを信じているかぎり、カロリーを無駄に減らしては失敗することを繰り返すだけだ。

私たちは、空腹を感じないでおこうと決めることはできない。基礎代謝率を増やそうと決めることはできない。摂取カロリーを減らせば、体は代謝率を下げて不足分を節約するだけだ。

脂肪の蓄積や体重の増加をコントロールするうえで最も重要なのは、何を食べるかによって変わるホルモン信号をコントロールすることだ。カロリー数ではない。

肥満はホルモンのバランスが崩れることで起こるのであり、カロリーのバランスが悪いから起こるのではない。体重が増えすぎてしまうのはどのホルモンに原因があるかといえば、おもに過剰に分泌される「インスリン」だ。

これと同じように、2型糖尿病もカロリーのバランスが悪いためではなく、インスリンのバランスが悪いために起こる疾患である。

ジェイソン・ファン:医学博士

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