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カロリー削れば太らないと頑張る人を裏切る真実 エネルギーが過剰だから体脂肪が蓄積するのではない

東洋経済オンライン / 2024年4月13日 14時0分

「私たちの体を正常な状態に保つために使われるカロリーは、つねに一定で変わらない」という仮定のもとに考えられたアドバイスだ。

だが、これは誤りである。

基礎代謝率は「40%」も上下する

じつは、体は基礎代謝率──心臓の拍動、肺の呼吸、腎臓や肝臓の解毒作用、脳による思考、体熱の発生などに必要なエネルギー──を40%も上げたり下げたりして調節することができる。摂取カロリーを減らしても、体がカロリーの消費を抑えようとして活動が鈍くなるだけで、体重が減るわけではない。

さらに、摂取カロリーと消費カロリーの差が体脂肪になるという考え方は、重複して働く満腹ホルモンや飢餓ホルモンの働きをまったく考慮に入れていない。

私たちは何をいつ食べるかを自分で決めることはできても、空腹を感じることをやめることはできない。いつカロリーを燃やして体熱を発生させ、いつカロリーを脂肪として蓄積するかを自分で決めることはできない。

それを決めるのはホルモンだ。だから、「まずはカロリーを減らそう」というアドバイスでは、私たちがどんなに頑張ったところで効果は出ないのだ。

1970年代に始まった2型糖尿病の嵐は、それから40年経ったいま、猛烈なハリケーンとなって世界中をのみこみ、疾患と障害を広めている。

脂質とカロリーを減らそうという輝かしいアドバイスを尻目に、これほど急速に肥満が広がったのはなぜなのか。考えられる可能性はふたつしかない。

アドバイスはよかったのに、人々がそれに従わなかったのか。それとも、たんにアドバイスが間違っていたのか。

やる気はあるが体が言うことをきかない──あるいは、夢はあるがやる気がない──という考えは、溺れている人に笑えと言うのと同じくらい馬鹿げた話だ。

世界的な肥満のまん延は、たんに世界中の人たちが突然、同時に、申し合わせたかのように意志薄弱になったから、とでも言うのだろうか。

車の通行が左側か右側かでさえ統一されていないこの世界で、世界中の人が一斉に食事量を増やし運動量を減らして太ろうとしたとでも?

これでは“被害者非難”を繰り返すだけだ。アドバイスを与えた側を「アドバイスが悪い」と非難するのではなく、アドバイスを受けた側に「アドバイスはいいのだから、それに従わないのが悪い」と責任を転嫁しているだけである。

何ら科学的根拠がないのにカロリー制限法には問題がないと宣言することで、医者や栄養学者たちは非難の矛先が自分たちに向かないようにしたのだ。こうなったのは自分たちの責任ではない。あなたの責任なのだ、と。アドバイスは間違っていない。それにあなたが従わないだけなのだ、と。

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