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わずか3~4年「検診受けなかった」彼に起きた悲劇 40代で死を意識した医師が後輩に遺した「言葉」

東洋経済オンライン / 2024年4月14日 11時20分

耳鼻科を訪れる患者さんに対しては、定期的ながん検診の重要性を説きながらも、自分自身は仕事に追われるうちに、気づけばしばらく検診に行けていなかったそうです。

そのわずか3〜4年の間にがんが進行し、診断がついたときには手遅れの状態になっていたのです。

Bさんは、もう少し病院を受診するのが早ければ、手術をして生き長らえる可能性もあったと思います。高校生のお子さんもいて、「親としてやり残したことがたくさんあるのに……」と、悔やみきれない様子で話していた姿を、今でも思い出します。

僕のようになってほしくない

医師として駆け出しの私に、「僕のようになってほしくないから、医師として人の健康を守るだけじゃなく、君自身の健康もちゃんと大事にしなさいね」「自分が死んだら意味がないんだよ」とかけてくれた言葉は忘れられません。

たった数年、検診に行かなかったばかりに、40代という若さで大切な家族を置いて、この世を去らねばならない現実を突きつけられたBさんの姿は、あまりに切なくて、病室の光景とともに今も記憶が鮮明に残っています。

現役世代は、つい目先の仕事や家族を優先し、自分の健康を後回しにしてしまいがちです。

しかし、「自分は大丈夫だろう」と過信してしまうと、取り返しのつかない結果を招く場合があることを忘れないでほしいと思います。

Bさんは、長引く咳をきっかけに受診しましたが、がんの初期は無症状であることが多いため、症状が出たときには、すでにがんが進行していることも少なくありません。

咳が続くのがコロナの後遺症だと思っていたら、肺がんだったというケースもあります。もし何か「いつもと違う」症状が続いているなら、先延ばしせずに受診してください。

そして、検診の結果、「精密検査が必要」と判定されたら、早期がんを見つけられるチャンスと考え、自分のため、そして心配してくれる周りの人のためにも、すぐに精密検査を受けるようにしましょう。

放置しているほうが怖い結果を招く

コロナ禍で精密検査を先送りにするうちに、がんが進行してしまった例もあります。「要精密検査」と判定された場合、「がんではないか」と怖く感じる人もいると思いますが、放置しているほうが怖い結果を招きかねません。精密検査は、必ず受けてください。

また時折、「何か病気が見つかると怖いから、検診に行きたくない」という人がいます。しかしこれは、言わずもがな本末転倒で、手遅れになってからの受診では遅いのです。

本当に怖いのは、知らず知らずに病気が進行してしまうことだと認識しましょう。

現役世代は、仕事や家族の健康を優先して、自分の健康を後回しにしてしまいがちです。親が子どもの体調の悪さに集中してしまい、自分の健康を後回しにしてしまうケースも同様です。

しかし、自分がいないと困る人がいるならなおさら、自分の健康を保つことが大切です。後回しにせず、しっかり自分の健康と向き合ってほしいと思います。

近年、がん治療は大きな進歩を遂げ、以前のように“不治の病”ではなくなっています。がんと診断されてから5年後も生存する「5年生存率」も上がっていますし、がんの種類によっては、早期発見と早期治療によって、9割以上が治る時代です。

自分の健康と大切な人のためにも、定期的な検診を怠らないようにしましょう。

(構成:ライター・松岡かすみ)

中村 明澄:向日葵クリニック院長 在宅医療専門医 緩和医療専門医 家庭医療専門医

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