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花王の経営戦略を問題視「モノ言う株主」が急浮上 強面ファンドが社長の肝煎り戦略に「ダメ出し」

東洋経済オンライン / 2024年4月14日 7時20分

来日したオアシスのセス・フィッシャー氏は会見を開き、複数の花王製品を手に取りながら熱弁を振るった(撮影:尾形文繁)

「花王は今こそよりよい企業になるべきだ」

【画像】花王の日焼け止め商品を手に、熱弁を振るうオアシスのセス・フィッシャー氏

モノ言う株主として知られるオアシス・インベストメント・マネジメントのセス・フィッシャー最高投資責任者が来日し、4月8日の会見で花王に対する要求をぶちまけた。

オアシスによれば、花王にコンタクトしたのは約9カ月前のこと。社長を含めた経営陣との面談を求めてきたが、いまだ実現していないという。3月22日に開かれた定時株主総会で経営陣には会えたものの、社長との面談は「5月末以降」とはね返された。

オアシスは花王株の3%超を握っているとする。直近ではドラッグストアのツルハホールディングス(HD)やエレベーターメーカーのフジテックなどの株式を買い増してきた。ただ、花王の時価総額は約2.8兆円。オアシスの日本での投資案件としては最大規模とみられる。

強面ファンドの変化

オアシスは近年、創業家に絡んだ不祥事をテコに、経営陣の入れ替えを提案する手法を得意としてきた。

フジテックでは創業家の内山高一元社長をターゲットに「私邸の庭掃除を従業員にやらせている」という写真や、不動産に関わる不透明な取引を指摘。ほかの株主からの支持も集めて内山氏を退任に追い込んだ。

ツルハHDでも取締役会が鶴羽順社長ら創業家に牛耳られており、ガバナンス面で問題があると訴えた。最終的にイオンに保有株式を約1000億円で売却することでエグジットしたが、手法は似ている。

今年3月にはMBO(経営陣による買収)をめぐって買い付け価格に異議を唱えた大正製薬HD案件でも、土地の売買について創業家を攻撃している。

だが今回、花王に突きつけた要求は、これまで得意としてきた“戦法”とは中身が異なる。

ブランド集約は”不十分”

8日の会見でセス氏は「海外大手ブランドと比べても花王のブランドは多すぎる。もっと絞り込むべきだ」と主張。さらに「優れた製品があるにもかかわらず、積極的な海外展開が見られない」と日本国外の市場へのより積極的な進出を訴えた。

確かに花王はここ数年、業績不振に悩まされてきた。

2019年度まで7期連続で営業最高益を更新したが、20年度以降は4期連続の営業減益。19年度に2117億円あった営業利益は、23年度に600億円まで縮小。23年度に計上した547億円の構造改革費用を除いても、収益悪化は明白だ。

背景にはインバウンド需要剥落や原料高騰といった外部要因のみならず、花王固有の問題が重なっている。

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