国策ラピダス「補助金1兆円」注ぐ至難技術の成算 535億円投じる「後工程」でブチ上げた開発戦略
東洋経済オンライン / 2024年4月16日 7時0分
こうした同業と異なり、ラピダスは少数の顧客相手のビジネスを前提にしている。この差別化戦略は両刃の剣で、工場稼働率と歩留まり向上のハードルが上がる。小池社長が強調するように「従来品に比べて10倍の枚数」が取れても、その後の工程で不良品が大量発生すれば元も子もない。
上客と肩を並べて連携できるか
後工程の開発にはさまざまな素材や装置が使われるため、それらを手がける企業とのすり合わせが欠かせない。後工程を担当するラピダスの折井靖光専務は「技術開発では『JOINT(ジョイント)2』とも連携していく」と話した。
ジョイント2とは、先端パッケージングの共同研究を行うために設立された国内の大手材料・装置メーカーのコンソーシアムだ。
後工程材料に強いレゾナック・ホールディングスを中心に、フォトレジストの東京応化工業や研磨・研削装置のディスコなど世界トップ級のシェアを持つ企業が13社参画している。
高い技術力を持った企業の集まりではあるものの、各社ともに大手半導体メーカーやTSMCなどといった大口顧客を抱えている。もちろん最先端技術の開発優先順位はこうした上客だ。実績のないラピダスがどこまで深く連携できるかがカギになる。
後工程の領域でも、ラピダスが掲げる理想と現実との差は大きい。巨額の補助金を投じる国策半導体企業は、多くの期待と不安を背負いながら2027年の量産化へとひた走る。
石阪 友貴:東洋経済 記者
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
政府はなぜ「ラピダス」のような会社を増やさないのか…日本が「半導体シェア世界1位」を奪還するために必要なこと
プレジデントオンライン / 2024年5月13日 9時15分
-
国策ラピダスとTSMC"2つの戦略"で決定的な差 早大・長内教授「ビジネスにストーリーがない」
東洋経済オンライン / 2024年4月30日 8時20分
-
日本の「半導体業界復活」に絶対的に必要な3つ 補助金付は企業を弱体化させるだけだ
東洋経済オンライン / 2024年4月28日 10時10分
-
次世代半導体の国産化実現へ 経産省がラピダスに追加支援
財界オンライン / 2024年4月25日 11時30分
-
SK hynixとTSMC、ロジックとHBM4の統合パッケージング技術開発で協力
マイナビニュース / 2024年4月23日 11時40分
ランキング
-
1飲むヨーグルトが「乳酸菌バブル」でジリ貧の理由 市場は逆転寸前、かつての人気を取り戻せるか
東洋経済オンライン / 2024年5月19日 7時20分
-
2東京から新幹線…「新神戸」よりも、一駅先の「西明石」まで買った方がおトク!? JR往復割引「601キロ」のカラクリ
まいどなニュース / 2024年5月19日 8時2分
-
3ラーメン屋経営で地獄見たプロレスラーの気づき 川田利明が向き合う「お客様は神様です」の怖さ
東洋経済オンライン / 2024年5月19日 12時30分
-
4ローソン、コーヒーなどの「濃さ」選べる仕様に 背景に“客離れ”回避
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月19日 8時0分
-
5広がるタッチ決済乗車は訪日外国人観光客対応か 話題の「二重価格」が鉄道・バスに導入される可能性
NEWSポストセブン / 2024年5月19日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください