岸田首相「国賓訪米」での皮肉な演出が広げた波紋 公式夕食会で「YOASOBI」に興じ、"卒業"は秋?
東洋経済オンライン / 2024年4月17日 9時0分
政治改革国会での与野党攻防から逃れるように、岸田文雄首相が8日から1週間の日程で、国賓待遇での訪米に打って出た。自民党の大苦戦が確実視される「4.28トリプル補選」を控え、「派手な首脳外交での存在感アピールで、苦境打開を狙った乾坤一擲の訪米」(側近)だったが、結果的に党・内閣の支持率大幅上昇にはつながらず、ネット上では「感傷旅行」と皮肉る書き込みも相次いだ。
「国賓訪米」のハイライトとなったのは9日(現地時間)から11日(同)にかけての日米首脳会談、アメリカ議会演説と、その前後の公式・非公式夕食会。「事前の想定を超える大歓迎」(官邸筋)に、岸田首相はとっておきの笑顔とジョークをちりばめたスピーチで応じ、「国内では起こらない拍手喝采」(同)に得意満面だった。
帰国後は厳しい政権運営に直面
ただ、14日午後の帰国後は、すぐさま厳しい政権運営に直面。一部世論調査で内閣支持率は微増となったが、ほぼ1年前のウクライナ電撃訪問を受けての急上昇には程遠く、トップリーダーとしては「天国から地獄に転げ落ちるような環境変化」(自民長老)に苦しむ状況だ。
16日にはトリプル補選が告示されたが、「政治と金」での自民議員の辞職による衆院東京15区と同長崎3区は、いずれも自民が不戦敗。残る同島根1区は有数の保守王国で、細田博之前衆院議長の死去に伴う「弔い選挙」にもかかわらず、野党統一候補の元衆院議員との与野党対決は「自民劣勢」(選挙アナリスト)との見方が多数派だ。
このため政界では「全敗なら会期末解散どころか、自民内で岸田降ろしが始まる」(閣僚経験者)とのぶっそうな臆測も飛び交う。にもかかわらず、岸田首相自身は「相変わらず意気軒高で、今後の政局運営にも自信満々」(側近)とされる。
「一世一代の晴れ舞台」で事前準備に没頭
今回の岸田首相の国賓待遇での訪米は、2015年の安倍晋三元首相(故人)以来、9年ぶり。外務省幹部は「11月に大統領選を控えるバイデン大統領が、岸田首相を国賓待遇で招待したのは、岸田政権の外交・安保政策をアメリカ政府が高く評価しているためだ」と胸を張る。だからこそ岸田首相も、「訪米直前まで、一世一代の晴れ舞台での存在アピールへの事前準備に没頭していた」(官邸筋)というのだ。
なかでも、岸田首相が力点を置いたとされるのが日米首脳公式夕食会。訪米から3日目の10日(日本時間11日)、岸田夫妻の歓迎のため、バイデン夫妻が大統領迎賓館で主催したものだが、その中でメディアが注目したのが、ゲストの有名歌手・グループによる歌唱シーンだった。
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