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「採用下手の会社」、9割がハマる"数字で評価"の罠 正しい意思決定に必要「計算の意味」という視点

東洋経済オンライン / 2024年4月18日 11時20分

9割以上の人は、シンプルに合計値を算出すればいいと考えます。

<総合評価>

Aさん:5+5+1=11

Bさん:2+3+5=10

よって、Aさんのほうが優秀な人材である

しかし、違った方法で評価するべきだ、という方もいます。その方法とは、次のような考え方です。

<総合評価>

Aさん:5×5×1=25

Bさん:2×3×5=30

よって、Bさんのほうが優秀な人材である

お気づきかと思いますが、両者の違いは「足し算」か「かけ算」かです。さて、あなたはどちらの考え方が正しいと思われるでしょう。

かけ算で評価すべきだと主張する方に、私はその理由を尋ねてみました。するとその答えは次のようなものでした。

「なんとなく、相乗効果っぽい意味の数字になる気がするから」

かけ算は乗法とも呼びます。「相乗効果っぽい」という発言のニュアンスはよくわかります。しかし、私は「あなたがその論法に納得しているならそれでもいいですし間違いと断言はしません。しかし個人的にはここでは足し算を使うのが妥当だと考えます」と説明しました。

そもそも、かけ算とはどういう意味の計算でしょうか。たとえば「2×3=6」という計算は、「2という数が3つある。それを積み上げると6になる」という意味であるはずです。

しかし先ほどのかけ算はそのような意味にはなりません。2というスコアが3つあるという意味ではなく、あくまで「実績」というスコアが2であり、「コミュニケーション力」というスコアが3である、ということでしかありません。本来のかけ算の意味とは違う行為をしていることになってしまいます。

だから、今回のようなケースでは足し算を使うほうが望ましいのです。

今回の思考実験において、キーになっているのは「スコア化した数字をどのように計算するか」です。何も考えずに「それっぽいから」という理由だけでかけ算してしまうと、意味を取り違えてしまうのです。

同様の状況に置かれたとき、「足し算派」「かけ算派」「ケースバイケース派」のように、さまざまな見解があるでしょう。その計算の意味を論理的に説明できるのであれば、どのような手法でも問題ありません。

しかし私はこの記事で、四則演算の意味をわからずになんとなく計算した結果で仕事を進めようとしてしまうことに対して、警笛を鳴らしたいと思っています。

「なんとなく計算する症候群」に注意

私はビジネス数学を提唱する教育者であり、企業研修やビジネスセミナーなどで社会人の数字力や思考力強化のサポートを行っています。

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