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「採用下手の会社」、9割がハマる"数字で評価"の罠 正しい意思決定に必要「計算の意味」という視点

東洋経済オンライン / 2024年4月18日 11時20分

そのような活動をしていると、ビジネスパーソンの皆様から「計算はAIやエクセルがやってくれる」という発言をよく聞きます。もちろんその通りですが、だからと言って、四則演算や数字の意味がわからなくてもいいわけではありません。

計算はできるのに、計算の意味がわかっていない。

そんなバカな、と思われるかもしれませんが、これは私が指導現場で目の当たりにしてきた事実です。私はそれらの事象を「なんとなく計算する症候群」と呼んでいます(私の造語です)。先ほどの事例もまさにそのひとつでした。

別の例もご紹介しましょう。かつて私が担当した企業研修において、ある小売店舗の営業を評価するために、次の指標を導入すべきではないか、と主張した方がいらっしゃいました。

(売上)÷(従業員ひとりあたりが占有する面積)

従業員ひとりあたりが占有する面積とは、総床面積を従業員数で割り算した結果ですので、上記の計算を紐解くと、次のようになります。

(売上)÷(従業員ひとりあたりが占有する面積)

=売上÷(総床面積÷従業員)

=(売上×従業員)÷(総床面積)

つまりこの計算は、売上になぜか従業員数を掛け算し、さらに総床面積で割り算するという行為になります。この数字が、いったいどのような意味を持つというのでしょうか。

疑問に思った私はこの人物に尋ねてみました。すると、その答えは次のようなものでした。

「……なんでしょうねぇこの数字。とりあえず、なんとなく計算してみたんですけど。私にもよくわかりません(笑)」

ご本人は笑っておりましたが、これは笑い事ではありません。これが四則演算の意味をわからずなんとなく計算してしまうという現象です。そういえば先ほどの採用の事例において登場した方もこう言っていました。

「なんとなく、相乗効果っぽい意味の数字になる気がするから」

「なんとなく」が共通する言葉であることが気づいていただけると思います。

「計算の意味」がわかる人材になる

私はこのような事例を目の当たりにするたびに、人材育成・教育の分野で仕事をする者として「やらなければならないことがたくさんある」と強く思います。

先ほどもお伝えしましたが、ビジネスパーソンの皆様からは「計算はAIやエクセルがやってくれる」という発言をよく聞きます。もちろんその通りですが、計算を指示するのはあくまで人間です。四則演算や数字の意味がわからない人がAIやエクセルを使ったところで、その行為は無意味です。

計算の意味がわかっていない人のする計算は意味がない。

これはただの言葉遊びではなく、社会人教育において極めて重要なことの言語化です。なぜなら、企業の採用活動といった極めて重要な意思決定において、致命的なミスを生んでしまう可能性があるからです。

AI時代だからこそ、計算ができる人材ではなく計算の意味が説明できる人材が求められています。「なんとなく計算する症候群」に思い当たる節のある方は、どうかご注意ください。

深沢 真太郎:BMコンサルティング代表取締役、ビジネス数学教育家

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