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グローバル化が進むと「封建的な世界」になる理由 ナショナリズムこそリベラルな社会の前提条件

東洋経済オンライン / 2024年4月24日 9時30分

欧米では、デイヴィッド・グッドハートがエニウェア族、サムウェア族と分けて、エニウェア族、つまり大都市に住む高学歴、高収入の者のほうがグローバル化を望むと述べています。日本ではその傾向はみられそうもありません。ここは文化の違いかもしれません。

佐藤:庶民層がグローバリズム志向とは、グッドハートの主張をくつがえす結果ですね。

施:ええ、そうかもしれません。だから、ここをいかに理解すべきかはもう少し考える必要があります。いくつか同じような質問をしたので、それも一部紹介させていただきますね。

日本の4人に3人は「国際化」型の政策を好んでいる

施:これは冒頭で触れた今年3月6日の産経新聞の私のコラムでも取り上げたものですが、望ましい日本の経済政策をどう考えるかという質問です。選択肢は、①が「日本経済をグローバル市場の中に適切に位置づけ、投資家や企業に投資先として選ばれやすい日本を実現すること」。②が、「日本国民の生活の向上と安定化を第一に考え、国内に多様な産業が栄え、様々な職業の選択肢が国内で得られるようにすること」。①は日本がここ30年ぐらい追求してきた追求してきた「グローバル化」型の経済政策で、②が「国際化」型と言えると思うんですが、結果は、「国際化」型のほうを支持する人が多くて73.3%です。

あとは、ちょっとストレートに、「あなたが考える望ましい将来の理想的世界秩序とは、次のうちどちらに近いですか」という質問をしました。①がまさにジョン・レノンの「Imagine」のような世界で「グローバル化」型の「合理的で普遍的でグローバルな世界国家をつくり、全人類がそこにまとまって対等に暮らすように努める」というもの。②が「国際化」型で「多様な文化や伝統をそれぞれ担った様々な国々が存在し、国々が対等な共存共栄を図るように努める」というもの。これもやはり②を支持する人が77.3%でした。

ざっくり「地球市民的なエニウェア族」と「ナショナルなサムウェア族」の割合というのは、イギリスをはじめとする欧米諸国では、グッドハート曰く、25%がエニウェア族で、半分強がサムウェア族で、残りがエニウェア族とサムウェア族の中間派とのことです。今回の調査でも、グローバル派が日本国民の25%弱でしたので、近い結果にはなったと思います。

このように、日本の4人に3人は「国際化」型の政策を好んでいるにもかかわらず、1990年代後半以降の30年間で政府や財界が推し進めてきたのは、「グローバル化」型の経済政策なんですね。外国や外国人との交流を好ましいと思う、お人好しの日本人の心情に乗じて、多くの人が実は望まない改革を進めてきたっていうのが現状ではないかと。

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