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「景気回復の実感」ないのに株価が上がる納得理由 株価は再び上昇トレンドに向かっていくか

東洋経済オンライン / 2024年4月25日 6時50分

内閣府から3月11日に発表されたの四半期別(2023年10-12月期)の実質GDP(国内総生産)は前期比0.4%増でした。実は、その前の四半期(7-9月期)が2.9%減とマイナス成長でした。2四半期連続でマイナス成長の場合、景気が後退局面に入ったと専門家から指摘されてしまうため、今回の発表でそれが回避された点は大きいと見られています。

しかし、GDPの内訳となる個人消費は、さらにその前の四半期(4-6月期)から3四半期連続でマイナス成長となりました。GDPの項目のうち私たちの実感と最も関係する個人消費が厳しい状況にあることも、私たちの景気の実感とGDPに乖離がある要因の1つです。

また「実質」と「名目」の違いについて言えば、物価の影響を除く前の名目GDPは直近まで5四半期連続でプラス成長となっています。日経平均株価の計算には物価の影響を除くことはしないので、実質よりも、連続でプラス成長してきた名目との関係が強くなります。

名目GDPと東証プライムの時価総額の推移

下図は名目GDPと東証プライムの時価総額の推移を並べたものです。時価総額は株価×発行済み株式数をベースに算出されるものなので、株式の市場で評価された価値の合算値を示すものです。

グラフの推移から名目GDPと東証プライム市場の時価総額がおおむね連動していることがわかります。

ところでいま一度、GDPについて考えてみましょう。GDPは日本国内で生産した価値から材料などの費用を除いた金額です。四半期ベースのGDPは3カ月間の生産合計になりますが、ここでは内閣府が発表している12カ月(年率)の換算値を使っています。

実は、株式運用に関する業界では、歴史的にGDPを時価総額と比較して見るケースが多いです。1年間の生産総額(GDP)が、市場での評価総額(時価総額)と関係が深いとする考え方です。生産総額が少なければ、生産の多くの部分を担う企業の価値(時価総額)も下がるし、逆にGDPが増えれば時価総額も上がるというものです。

これが、上図の名目GDPと東証プライム市場の時価総額が連動する背景にあります。

さらに、上図で見るとGDPよりもGNI(国民総所得)のほうが時価総額と連動性は大きいものとなっています。GNIはGDPと計算が似ているのですが、「日本企業が海外支店等で生産したモノの価値を含んでいる」点が異なります。GNIは、以前GNP(国民総生産)と呼ばれるものでしたので、なつかしい用語と思う読者も少なくないかもしれません。

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