TVマン見た「絶滅危惧種と暮す民族」驚く日常(前) インドと中国の境界線「最果ての村」を目指す
東洋経済オンライン / 2024年4月27日 8時0分
世界36カ国を約5年間放浪した体験記『花嫁を探しに、世界一周の旅に出た』が話題を呼んでいるTVディレクター・後藤隆一郎氏。
その後藤氏が旅の途中で訪れた、ヒマラヤ山脈にある辺境の地、チベット仏教の聖地「スピティバレー」で出会った「標高4000mに暮らす人々」の実態をお届けします。
*この記事の続き:TVマンが見た「絶滅危惧種と暮すチベット民族」驚く日常(中編)
*この記事の続き:TVマンが見た「絶滅危惧種と暮すチベット民族」驚く日常(後編)
1日1本のバスで次の街ピンバレーを目指す
前回までの話
何も調べずにフラフラと。チベットの定番料理、モモを美味しく味わうため、空のペットボトルに醤油を入れて持参。たどり着いたのは北インドのヒマラヤ山脈にある標高4000mの「天空の地」、スピティバレー。
その中心地カザで、もう1人の日本人の旅人、カナさんと再会した。スピティとはチベット語で「中間の地」を意味する。
やがて、2人はスピティの最果てにある、中国とインドの中間の地、国境近くにあるピンバレーを目指すことになった。
宿のオーナーの情報によると、カザからピンバレー方面のバスは1日に1本だけ。しかも、出発は夕方の4時。それでも、このような辺境の地に公共交通機関が存在することに感心してしまった。
【写真で見る】敏腕TVマンが見た!「絶滅危惧種と暮すチベット民族」驚きのリアルな日常 インドと中国の境界線「最果ての村」を目指した結果…
バックパックを背負い、狭い1本道にあるバス停へ向かうと、待っているのは我々だけだった。すると、定刻より5分ほど遅れて、1台のバスが到着した。
1、2時間は当たり前。時には、半日以上も遅れるのが日常茶飯事のインドのバスに比べると、ここには時刻を重んじる習慣があるのだろう。
スピティ地区は政治的にはインドに帰属しているが、ヒマラヤの山々で隔離されたことで、インドや中国からの影響が少なく、伝統的なチベット文化が、今もなお色濃く残っていると聞く。
この旅で、その文化や風習・生活様式などを観察してみようと思った。
長年、珍しいものを追い続けてきたTVディレクター特有の嗅覚が働きだす。
昭和のようなバスに、戦前の日本人?
バスは昭和の日本で使用されていたような型の、かなり老朽化した大型車だった。谷底ギリギリの狭い1本道を走るのだから小さなバンが来るだろうと予想していたので、その大きさに少々驚いた。
車内に座る人々を見渡すと、女性が7割を占める。着ている衣服などから察するに、働いている女性たちに違いない。
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