TVマン見た「絶滅危惧種と暮す民族」驚く日常(前) インドと中国の境界線「最果ての村」を目指す
東洋経済オンライン / 2024年4月27日 8時0分
「なんでこんな辺ぴな場所まで来たの?」と尋ねると、3人はジョークを交えながら、目的は、スピティに住む美しいチベット仏教徒の少女をめぐる禁断の恋物語、『Paap』というボリウッド映画の撮影地だからだと答えた。
彼らのうちの1人が映画オタクで、ロケ地の美しさに魅了され、聖地巡礼のためにここまでやってきたとのこと。
ここの大自然の美しさはインド人も魅了するほどで、トレッキングを終え、「なぜ、監督がここを映画の撮影地として選んだのかがわかった」と笑いながら答えた。
それにしても、このような辺境のチベット仏教の聖地に、別の意味で“聖地巡礼”に訪れるインドの映画オタクの熱狂は、日本のアニメオタクに通ずるところがある。
その後、俺たちは暖炉を囲み、遅くまで談笑しながら、チベットの焼きそば「卵と野菜のチョウメン」を堪能した。
その後、2人で部屋に戻ると、見知らぬ土地への移動と高地を猛ダッシュした疲れからか、泥のように眠りについた。
朝早く、床下で飼われているヤギの鳴き声で目を覚ました。「メーメー」という声に混ざり、カナさんの歓喜の声が響く。
「ごっつさん、見てください。窓からの景色、最高です」
窓の外には茅葺きの屋根があり、奥には田んぼが見える。その向こうには、美しい渓谷に沿ってまるでじゅうたんが敷かれたような緑が広がっている。
手付かずの原生自然そのもの
宿のオーナーから聞いた話によると、遠くにそびえ立つ山々は、ピンバレー国立公園にある標高6550mのシグリ・パルバット山まで連なり、そこには、ユキヒョウやシベリアアイベックスを含む多くの絶滅危惧種の野生動物が生息しているそうだ。
また、近年、ピンバレー国立公園とその周辺で絶滅の危機に瀕した22種類の薬用植物が発見され、インド政府から生物圏保護区に指定された未開の地。そこは、まさに手付かずの原生自然そのものなのだ。
朝食を食べた後、2人で村の探索に出た。
すると、生まれて初めて見る「珍しい動物」の姿が目に入った。
*この記事の続き:TVマンが見た「絶滅危惧種と暮すチベット民族」驚く日常(中編)
*この記事の続き:TVマンが見た「絶滅危惧種と暮すチベット民族」驚く日常(後編)
後藤 隆一郎:作家・TVディレクター
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