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誰もゴールを入れてくれなかった…/原ゆみこのマドリッド

超ワールドサッカー / 2024年3月25日 21時0分

「火曜はもっと景気いい試合になるといいけど」そんな風に私が願っていたのは土曜日、お昼のサンティアゴ・ベルナベウでコラソン・クラシックマッチを見た後のことでした。いやあ、レアル・マドリーのOB選手がプレーする、このチャリティマッチが開かれるのも5年ぶり。2020年3月開催予定だったポルト戦がコロナ禍で中止となって以来、スタジアムの全面改装工事が佳境に入り、ずっとやっていなかったんですけどね。チケットも7ユーロ(約1200円)からと格安だったため、新しくなったベルナベウで、かつてのスター選手たちを見る絶好の機会と、観客7万人の大入りとなったんですが、まさかマドリーのゴールを1つも祝えないとは一体、誰が予想した?

そう、前半9分には、マドリーからポルトに移り、心臓発作で一命を取り留めた後の2020年に引退。ようやくこのオマージュ試合を迎えることができたGKカシージャスがポルトOBのマレク・チェフに先制点を奪われ、その1点を最後まで返せなかったんですよ。0-1で負けて、過去10回あったコラソン・クラシックマッチ初のマドリー敗戦、しかも初の無得点試合となったのも意外でしたが、39分で交代し、後半27分から、今度はポルトのGKとして出場。そこへまだまだ、現役時代と相違ない体躯をしたバプチスタが狙ってきたりしたため、最悪、カシージャスが1人で2失点するよりは全然、良かった?

ラウール、モリエンテス、ジダン、フィーゴ、ロベルト・カルロス、ソラリ、シードルフと往年のギャラクティコメンバーをスタメンに並べ、他にもアルベロア、グラネロ、パボン、最後は現クラブ渉外担当ディレクターのブトラゲーニョ氏までピッチに入って、お家芸の根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)を試みたマドリーでしたけどね。一番気の毒だったのはラウールで、30分までプレーした後、午後6時には指揮官を務めるRMカスティージャの試合があるため、エスタディオ・ディ・ステファノに直行。そちらでもカステジョンに0-2で負けるという、ダブルショックを受けることになりましたが、何はともあれ、懐かしい顔が見られて、ファンが喜んでいたのは良かったんじゃないでしょうか。

そしてこの各国代表戦週間、ベルナベウは火曜午後9時30分(日本時間翌午前5時30分)にも親善試合を迎えるんですが、それがスペインvsブラジルという、とりわけマドリディスタにとっては屈指のカードなんですよ。というのもミリトンこそ、先週のバルデベバス(バラハス空港の近く)での練習中に反対側のヒザの半月板を損傷し、paron(リーガの停止期間)後に復帰の予定が今季絶望に変わってしまったGKクルトワのような不幸がない限り、夏に負ったヒザの靭帯断裂からのリハビリ終了秒読み段階にいるため、ブラジル代表には参加していませんが、ビニシウスとロドリゴは土曜にあったウェンブリーでのイングランドとの親善試合に先発。

同僚のベリンガムと競い合ったばかりか、後半35分にはビニシウスのシュートがGKピックフォード(エバートン)に弾かれたところを押し込み、代表初ゴールをゲット。0-1の勝利をブラジルにもたらしたエンドリッキ(パルメイラス)もやって来ますからね。そう、彼は来季のマドリー入団が決まっている17才のFWで、当人もファンもベルナベウデビューを楽しみにしているんですが、果たして昨年12月にアンチェロッティ監督がマドリーとの契約を2026年まで延長し、完全にブラジル代表監督就任のオプションがなくなった後、拝命を受けたドリバウ・ジュニオール新監督のプランは如何に。

ただ、それを迎え撃つマドリー勢がカルハバルとホセルの2人だけというのは、昨今のスペイン代表におけるリーガの巨頭のプレゼンスの低下をまざまざと示しているんですが、ええ、ご存知の通り、ブライムは父方の祖父の故郷であるモロッコ代表を選び、金曜には1-0と勝ったアンゴラとの親善試合でデビューしちゃいましたからね。ナチョ、ルーカス・バスケス、フラン・ガルシアらにもユーロに行くチャンスはあるとはいえ、その前最後の3月の招集リストにデ・ラ・フエンテ監督は名前を加えなかったため、かなり難しいというのが現実。

となるとマドリー選手をヨーロッパ各国の代表戦で楽しむのはむしろ、土曜に同僚リュディガーの説得もあって、とうとう3年ぶりに復帰したクロースのアシストで開始7秒にビルツ(レバ-クーゼン)が先制点を挙げたドイツ、その対戦相手で最後は0-2で負けてしまったとはいえ、来季入団の可能性の高いエムバペ(PSG)に加え、チュアメニとカマビンガがプレーしたフランス。38才ながら、モドリッチが未だにチームを牽引しているクロアチア、マドリーではあまりプレーを見る機会のないギュレルのいるトルコ辺りの試合になるかと。そうそう、火曜には今季最後までマドリーの正GKを務めるルーニンがユーロ出場権を懸けて、アイスランドと対戦するウクライナのプレーオフ決勝もありましたっけ。

え、それで肝心のスペインの調子はどうなんだって?いやあ、ラス・ロサス(マドリッド近郊)のサッカー協会施設での合宿が始まって3日目、水曜にはルビアレス前会長時代、スペイン・スーパーカップの開催地を6年間、サウジアラビアにする契約やコパ・デル・レイ決勝スタジアムを4年間、カルトゥーハにするというアンダルシア州との契約に汚職や横領、マネーロンダリングの疑いがあるとして、協会本部に捜査当局のガサ入れが入るという、異常事態があったにも関わらず、同じ敷地内で普通に練習を続けていたチームは木曜にロンドンに移動。

翌金曜にコロンビアとロンドン・スタジアムで親善試合となったんですが、これがまったく期待外れだったんですよ。いえ、試合前、協会のXで初出のユーロ用第2ユニがロッカールームに吊るされているビデオを見た時は、ネックの後ろについている赤いカーネーションを含め、レモンイエローの色調があまりに可愛くて、明日にでも実物を見にショップに寄ろうと思ってしまったぐらいだったんですけどね。それがいざ、選手たちが着てピッチに出て来てみれば、脇から裾にかけて入っているグレーの部分とパンツまで続く赤いラインのせいで、亜流のウルトラマンみたいに見えてしまったのは残念だったかと。

そんなことはともかく、この日はデ・ラ・フエンテ監督もユーロ前に選手を試すいいチャンスと思ったか、先発に負傷のせいでなかなか、代表に戻って来られなかったオジャルサバル(レアル・ソシエダ)、ジェラール・モレノ(ビジャレアル)、そして久方ぶりとなるサラビア(ウォルバーハンプトン)を並べ、ホセルをトップに置く布陣でスタート。GKもレギュラーのウナイ・シモン(アスレティック)ではなく、先日はCL16強対決ポルト戦2ndレグのPK戦で活躍して、注目を浴びたダビド・ラジャ(アーセナル)がデビューしたんですが、それでも前半のうちは特に守備に問題はなく、上手くコロンビアを抑えていたんですけどね。

ただ、攻撃の方はミケル・メリーノ(レアル・ソシエダ)や、こちらは初招集で即デビューとなったビビアン(アスレティック)のヘッドが外れたり、グリマルド(レバークーゼン)の積極性が光ったりといったことはあったものの、ゴールを奪うには至らず。0-0のまま、後半が始まったところ、いやあ、3分のジェラール・モレノのvolea(ボレア/ボレーシュート)がGKバルガス(アトラス)にparadon(パラドン/スーパーセーブ)されていなければねえ。それみたことか、15分には後半から出場したハメス・ロドリゲス(サン・パウロ)から始まったプレーでルイス・ディアス(リバプール)に左サイドから切り込まれ、ビビアンが及ばなかったせいもあって、ラストパスがファーサイドへ。ペドロ・ポロ(トッテナム)の見守る前、ダビド・ムニョスのジャンピングボレーで叩き込まれては、交代出場していたGKレミロ(レアル・ソシエダ)だって、どうしようもありませんって。

先制されてしまったスペインは同点を目指して、即座にジェラール・モレノとオジャルサバルを下げ、モラタ(アトレティコ)とニコ・ウィリアムス(アスレティック)を投入。それでもラチが明かないとなると、27分にはサラビアから、ジャマル(バルサ)に代え、16才のFWにゴールを託したんですが…ダメでした。ええ、最後の6人目の交代枠など、アタッカーではなく、初招集の17才、CBクバルシ(バルサ)のデビューに使われていましたからね。そのまま、0-1で終わり、昨年のユーロ予選スコットランド戦以来となる2敗目を喫したデ・ラ・フエンテ監督は、「No ha faltado ambición ni ganas de competir/ノー・ア・ファルタードー・アンビシオン・ニ・ガナス・デ・コンペティル(ウチに野心や競う意欲が欠けていたということはない)」と言っていたものの、やっぱり公式戦じゃないというのが影響していたのかも。

そして翌土曜の午後2時にマドリッドに戻って来たチームは夕方から、サッカー協会施設のグラウンドで遅ればせながら、一般公開練習を実施。私も見に行ってみたところ、すでに世間はセマナ・サンタ(イースター週間)の休暇に入っているせいもあって、相変わらずの盛況でしたね。試合翌日ということで、長い時間プレーした選手はrondo(ロンド/輪の中の選手がボールを奪うゲーム)だけで終わり、他もpartidillo(パルティディージョ/ミニゲーム)ぐらいで、大したことをした訳ではないんですが、この公開練習の一番の魅力はセッションが終わった後、選手全員がフェンス際まで来て、ファンサービスしてくれることかと。

それがふと気づくと、モラタとロドリゴ(マンチェスター・シティ)の姿が見えず、いえ、後者は家庭の事情で合宿を離れていたようなんですけどね。前者は胃腸の調子が悪かったそうで、うーん、もしやアトレティコの天敵、黄色のユニを着せられて、当たったなんてことある?まあ、日曜のセッションには普通に参加していたので、ブラジル戦ではしっかりスペインのエースを務めて、古巣の本拠地で郷愁に浸るのも悪くはないかと思いますが、さて。そういえば、まだトップチーム歴の浅いジャマルとクバルシはこれが初ベルナベウ体験で、4月21日にクラシコ(伝統の一戦、マドリーvsバルサ戦のこと)を控えて、いい予行演習ができそうな。一応、この試合、デ・ラ・フエンテ監督は仮想Aチームを並べてくるはずなので、コロンビア戦よりはしゃきっとしたスペインが見られるはずですが、うっかり2連敗となった日にはユーロ悲観論が台頭してきそうですね。

そして最後にちょっとだけ、アトレティコの近況もお話ししておくと、この週末は土日月が休養日で、練習は火曜の夕方までないんですが、足首のネンザを完治させるべく、フランス代表を離脱してきたグリーズマンのリハビリは順調に進んでいるよう。同じく、CL16強対決インテル戦1stレグで太ももを負傷したヒメネスも金曜には部分的にチーム練習に参加して、2人共、今週中には完全に合流できる見込みなのだとか。

何せ、代表戦明けのリーガは4月1日(月)のビジャレアル戦と時間はたっぷりありますからね。その分、鬼門のアウェイ戦、しかも黄色ユニチームとの対戦まで、各国代表から帰って来る選手にも余裕があるのは有難いんですが、よくよくスケジュール帳を見てみると、その次の週末はアスレティックとマジョルカのコパ決勝があるため、リーガはお休みに。要はCL準々決勝ドルトムント戦1stレグまでも中8日あるため、疲れやすい今季のシメオネ監督のチームにとっては願ってもないんじゃないかと思いますが…その後はまた週2試合ペースに戻るため、ジグナル・イドゥナ・パルクで黄色のユニに挑むドルトムント戦2ndレグを含め、やっぱりリーガ4位奪還は厳しい戦いになりそうです。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ
南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファン。ワイン、生ハム、チーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。

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