岸田文雄政権が発足! 「新しい資本主義をつくる」
財界オンライン / 2021年10月7日 7時0分
力量と真価が問われるのはこれから
新しい首相に岸田文雄氏が就任した。自民党総裁選は4人が立候補。国会議員と地方の党員・党友の地方代表による決選投票で河野太郎氏に圧倒的な差をつけての首相就任である。
「改革派の河野氏」に対し、「調整型の岸田氏」と言われる。その岸田氏が総裁選で主張してきたのは、「国民の声に耳を傾ける自民党にしていく」と、”聞く力”を訴えた。
総裁選の論戦で、日本の課題はほぼ明確にされた。当面のコロナ禍をどう乗り切るか、そして、コロナ対策と経済再生の両立をどう図るか。中長期的には人口減・少子高齢化というマイナス環境の中で、社会保障の財源をどう調達するか。所得格差の解消、人手不足にどう対応するか。さらには環境対策とからむエネルギー資源の調達、米中対立を背景に経済安全保障をどう構築するか――などである。
各界・各層の意見を聞いた上で、どう結論を導くのか。調整型と言われる岸田氏の力量と真価が問われるのはこれからだ。
岸田氏は「成長と分配の好循環をつくる」として、『分配』を重視する姿勢を示す。これも所得格差、あるいはコロナ危機の中で生活困窮者が増え、約2千万人と言われる非正規雇用者の支援を意識した対応。これは、小泉純一郎政権以来の『新自由主義的政策』の修正を意味する。岸田氏も「新しい資本主義をつくる」と語る。
もっとも、新しい付加価値、富を創出するのは民間企業。その意味で、規制改革、新しい事業・市場の創出は不可欠。財政出動一本やりでは真の経済成長は期待できない。
「今は国難。コロナ危機の乗り切りで一定の財政出動は必要だが、財政改革なくして日本の国力増強はない」(某経済人)との指摘は重くのしかかる。
つまり、日本の舵取りを行うリーダーとして、時に苦い薬を国民全体でうけ負う覚悟も求められる。一人頭GDP(国内総生産)では世界26位、トルコや韓国にも抜かれている。G7(主要7カ国)の一員としては恥ずかしい状況にある。
欧米では「改革の進まない国」という不名誉な評価もある中で、日本の改革は待ったなしである。
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