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アングル:米社債市場、堅調維持か 利下げ見込み資金殺到

ロイター / 2024年4月3日 7時3分

 4月1日、米社債市場には連邦準備理事会(FRB)が利下げに踏み切る前にリターンを確定しようとする投資家が殺到しており、第2・四半期入りしても堅調を保つ見通しだ。ニューヨークで2019年1月撮影(2024年 ロイター/Carlo Allegri)

Shankar Ramakrishnan

[1日 ロイター] - 米社債市場には連邦準備理事会(FRB)が利下げに踏み切る前にリターンを確定しようとする投資家が殺到しており、第2・四半期入りしても堅調を保つ見通しだ。市場関係者の間からは、米国債に対する利回りの上乗せ分であるクレジットスプレッドが30年ぶりの水準に縮小するのではないかとの声も上がっている。

米債券市場はまさに買い一色。FRBは景気後退を招くことなくインフレを抑え込んでソフトランディング(軟着陸)を成し遂げ、今年終盤に成長てこ入れのため利下げに動くと見込んだ投資家が、債券に資金を投じている。

社債は21日に投資適格債とジャンク債の両方で米国債とのクレジットスプレッドがそれぞれ91ベーシスポイント(bp)、305bpと2年ぶりの水準に縮小した。

債券ストラテジストによると、保険会社や年金ファンドなど大口の債券投資家に、高金利の利点をフルに活用しようとする顧客から資金が流入。こうした大口投資家が社債に投資しているが、社債の新規発行量が足りないかもしれない。

調査会社インフォーマ・グローバル・マーケッツのデータによると、第1・四半期の投資適格級企業による社債発行は5380億ドルと過去最高を記録し、今年の発行高見通し1兆3000億ドルの40%に相当した。一方、新発債は平均で3倍ないし4倍の応募超過となっており、引き合いの強さがうかがわれる。

モルガン・スタンレーの債券ストラテジスト、ビシュワス・パトカー氏は、現在の市場を1990年代半ばの状況になぞらえた。FRBが95年に4回の利下げを行った後、政策金利を長期間にわたり高水準に維持した時期で、「債券市場は堅調を保ち、金利上昇にもかかわらずスプレッドが56bpと、現代まれに見る狭い水準になった」という。

パトカー氏は、ソフトランディングが達成されればスプレッドは90年代以来の水準である75bpまで低下する可能性があると見ている。同氏は3月に基本シナリオを見直し、年末のスプレッド予想を125bpから95bpに修正した。

社債市場の見通しを変えたのはパトカー氏だけではない。バンク・オブ・アメリカのストラテジストチームも今では、向こう1カ月間でスプレッドが80bp前後まで縮小し、2021年に付けた77bpに近づくと見込んでいる。ただ6カ月後のスプレッドについては100-120bpとの予想を据え置いた。

<適正価格誤認のリスクも>

社債に対する旺盛な需要は、より低いコストで資金を調達できるため企業にとっては朗報だ。しかしスプレッド縮小により、社債はリスクに対する対価が細っていると警鐘を鳴らす投資家もいる。

TDセキュリティーズの債券ストラテジスト、ハンス・ミケルセン氏は15日付のリポートで、BBB格付けの債券とA格付けの債券のクレジットスプレッドは過去最低に近く、社債利回りは米経済がハードランディングする可能性などのマクロリスクに見合う水準ではないと指摘した。ミケルセン氏は6カ月後のスプレッドを130bpと予想している。

ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのマルチセクター・クレジット・ストラテジスト、ジョン・ロイド氏は「投資家から見れば、このスプレッド水準で十分な価値が残っているとは言い難い。だからわれわれは社債をアンダーウエートにしている」と言う。

グローバル投資運用大手コニングのコーポレート・アンド・ミュニシパル・チーム共同責任者、マイク・グリフィン氏は、さまざまな資産クラスに分散投資することで下振れリスクを最小限に抑えていると明かした。市場の流れが変わったときに売却できない債券に「捕まらない」ように、主に高格付けの社債に投資しているという。

<強い引き合い>

リスクはあるものの、米金融機関ストラテジストは社債市場には当面追い風が吹き続けると見込んでいる。

金利上昇で年金保険契約の販売増加に拍車が掛かり、保険会社は負債の増加に合わせて社債の購入を進めている。

保険業界団体LIMRAによると、2023年の米国の年金保険販売総額は過去最高の3854億ドルとなり、前年比で23%増えた。

コニングのグリフィン氏は「保険会社や年金基金は負債にマッチさせるため、債券のような高クーポンの資産に目を向けており、特に年金基金は株式からの資金移動を検討している可能性がある」と述べた。

既発社債のクーポンの再投資も、社債需要を押し上げる要因になっている。

ゴールドマン・サックスは投資適格債とジャンク債の2024年のクーポン支払総額が4630億ドルに上ると予測している。これらの支払いがすべて再投資された場合、今年予想される純発行額6000億ドルの77%を吸収するという。

JPモルガンのストラテジストチームは2日のリポートで「テクニカルな要因が引き続き相場の動きを主導している。投資適格債に対する需要が依然として圧倒的に強く、一方で供給は記録的なペースから緩み始めているためだ」と指摘。投資適格債の年末のスプレッド予想を30bp引き下げて95bpとした。

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