経産省、東芝総会前に複数の海外株主と接触 議決権行使に干渉か=関係筋
ロイター / 2020年9月18日 13時30分
[東京 18日 ロイター] - 7月31日に開催された東芝<6502.T>の定時株主総会の前に、経済産業省が海外の複数の株主に接触していたことが分かった。事情に詳しい3人の関係者が17日、明らかにした。少なくとも株主の1人は、議決権の行使に影響を与える意図があったと受け止めている。東芝の株主総会では一部の議決権が反映されなかったことも判明しており、東芝のガバナンスに対する疑義が高まる可能性がある。
関係者によると、経産省の幹部らが、少なくとも3つの投資ファンドに接触。東芝の株主総会での議決権行使を巡り、他の株主と協議していないかどうかを探ろうとしたという。
特に経産省が関心を寄せていたのは、独自の取締役候補者の選任を提案していた筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントとの関係だった。連絡を受けたあるファンドは、東芝の提案を支持するよう促されたと解釈した。いずれの関係者も、非公表の情報として匿名を条件にロイターの取材に応じた。
機関投資家が他の投資家と協働して投資先企業との対話を行うことは、「集団的エンゲージメント」、または「協働対話」と呼ばれ、機関投資家の行動規範とされるスチュワードシップ・コードにも、そうした行動が「有益な場合もあり得る」と記されている。一方、他の投資家と共同で株主総会議案の賛否など株主の権利を行使することに「合意」した場合は「共同保有者」とみなされ、合算した株式保有割合が一定数を超えた場合には大量保有報告書を提出し開示しないと処罰の対象になる。
ただ、国内外の機関投資家の間では、どの線を超えると「合意」とみなされるのか当局の裁量に頼る部分が大きいとして、一層の明確化を求める声がスチュワードシップ・コード導入時から上がっていた。
別の関係者によると、経産省は昨年にも、東芝株主の米キングストリート・キャピタル・マネジメントが取締役の過半数入れ替えを要求した際、複数の海外ファンドに接触し、調査に入る可能性をにおわせた。
会社役員育成機構(BDTI)代表理事でガバナンスの専門家、ニコラス・ベネシュは、スチュワードシップ・コード策定でモデルとなった英国では、違法にはならない範囲を明確化した基準があると指摘。日本も「なぜ同様の基準を設けないのか」と語った。
経産省はロイターに対し、「うわさについてはコメントしない」と回答した。エフィッシモはコメントできないとし、東芝の広報担当者は「憶測にはコメントしない」としている。
東芝の株主総会を巡っては、事前に郵送された約1300通の議決権行使書が期限に間に合わなかったとして、結果に反映されていなかったことがロイターの取材で分かっている。
(山崎牧子 梅川崇 編集翻訳:平田紀之)
この記事に関連するニュース
-
株主名簿に載らない“実質株主”に企業は戦々恐々…金融庁が仕組みづくり検討へ(中西文行)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月27日 9時26分
-
LGIMが「アクティブ・オーナーシップ・レポート」最新版で自然、健康、AIに関するエンゲージメントの強化を発表
PR TIMES / 2024年4月26日 18時40分
-
ノルウェー政府系ファンド、ゴールドマン会長・CEO分離支持へ
ロイター / 2024年4月19日 18時23分
-
大日本印刷にマネックス系ファンドが株主提案 経営学者、楠木建氏の社外取選任で経営改善狙う
東洋経済オンライン / 2024年4月18日 17時30分
-
株式会社ストラテジックキャピタルが株式会社ワキタへの株主提案及び同提案に関する特集サイトの開設を公表
PR TIMES / 2024年4月5日 15時45分
ランキング
-
1米スターバックス、3年ぶりの減収…中東での不買運動や北米の節約志向が重荷
読売新聞 / 2024年5月1日 22時24分
-
2Googleの「約束破り」が示す検索市場の"危うさ" ヤフーへの技術提供制限で公取委が初の処分
東洋経済オンライン / 2024年5月2日 7時20分
-
3GWの平均予算は「2万7857円」 過ごし方の3位「買い物」、2位「外食に行く」…「海外旅行」は1%
まいどなニュース / 2024年5月2日 7時50分
-
4円下落、一時158円台に迫る 介入観測後も円安止まらず
共同通信 / 2024年5月1日 18時30分
-
5観光業で働く人のためにも「GWは廃止すべき」 こう提言しても、何も変わらなかった理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年5月1日 6時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください