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「自分が本当にやりたい仕事が何か、わからない!」 就活で悩みぬいたZ世代・学生が「漠然とした志望動機」に自信を深めたワケ(1)

J-CASTニュース / 2024年3月26日 12時10分

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Z世代・学生が涙したエピソードとは

上司の言葉がけひとつで、モチベーションが高まった経験はありませんか?

会社の中で実際に起きた困ったエピソード、感動的なエピソードを取り上げ、人材育成支援企業代表の前川孝雄さんが上司としてどうふるまうべきか――「上司力」を発揮するヒントを解説していきます。

今回のエピソードを踏まえ、前川さんは「上司として、若者のキャリアの可能性を広げられるかかわり方が大事だ」といいます――。

超売り手市場の中で悩む、Z世代の就活生たち

私(前川孝雄)は本業の企業内人材育成支援と並行して、大学でのキャリア教育を手掛けて14年になります。

前職のリクナビ編集長時代も含め、20年にわたって就活の現場を目の当たりにしてきた中で、新卒一括採用という仕組みの変調を感じています。

日本の大企業において、新卒一括採用と地続きである企業内での階層別教育、年功序列、終身雇用という日本型雇用そのものが変わり始めているからです。

表向き、新卒採用の本格選考は大学4年生などの4月以降ですが、すでに内々定を得る就活生は珍しくありません。

2~3年生の段階からインターンシップは盛んに行われており、オンラインでの合同企業説明会なども実施されています。これまで表面上は、新卒採用とインターンシップは切り離して考えるべしとされてきました。

ところが、実態を踏まえ、国も採用直結型を認めるようになってきています。真面目な学生ほど、大学入学して1年過ぎると就活のことを考えるようになります。

「就活もしなければと思うんですが、期末試験やレポート提出もあって、できないのですが...」
「考える余裕がなくなってきて、何のために就活するのかも分からなくなってきて、やる気が出てきません」

教え子の学生たちも、毎年悲鳴を上げています。

就活スケジュールについては、経団連が紳士協定の形で制御することをやめ、いまは国が混乱を来さないよう、先導するようになっています。

背景には、日本企業に特徴的だった、人に仕事を付ける「メンバーシップ型」雇用から、仕事に人を付ける「ジョブ型」へのシフトがあります。

企業内において純粋培養で育てていくことから、社内外で適材を発掘し配置していく流れです。グローバルスタンダードに歩調を合わせる動きといえるでしょう。

今回紹介するのは、そうした中で就職活動に悩む一人の大学生に対し、私が相談に乗ったエピソードです。読者のみなさんは、自身の職場に新たに迎え入れるZ世代の若者を理解し、育てる参考にしてください。

「あなたが本当にやりたい仕事は何?」と問われ続けて...

私に相談をしてきた学生は、友人の薦めで私の著書を一読し、居ても立っても居られず連絡したという、就職活動中の女子学生でした。

彼女は、就活を始めて以来、毎日のように「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)を踏まえて、「あなたのやりたいことは何?」「就職の動機は何?」と問われ続けることに、疲れ果ててしまったというのです。

大学のキャリアセンターに行くと、就活用の自己分析を受けさせられ、業界研究を促され、応募先の企業を定めることに。

提出用のエントリーシートに記入するため「志望動機は一体何か」「どのような職に就き、やりたい仕事は何か」と問われます。企業の選考審査の必須事項であり、採用面接に行けば必ず尋ねられるというわけです。

しかし、彼女は「考えれば考えるほど、自分が本当にやりたいことは何か、ずっと続けたい仕事が何かなど、分からなくなってきた」と、すっかり悩んでしまったのです。

こうした悩みは毎年のように教え子たちから聞いており、特に珍しいものではありません。

いまは、自分のやりたい仕事かなんて、わからなくていい

そこで私は、訪ねてきた彼女に、次のように話しました。

まだ働いてもいない学生の今、やりたい仕事がはっきりわからなくても、全然かまわない。だから、そんなに心配しなくてもいいんだよ。

情報過多で変化の激しい時代。40代や50代のベテラン社会人ですら、「自分は、本当は何者か」「何が本当に一番やりたいのか」わからない人のほうが多いくらい。本当にやりたいことなんて、簡単に見つかるものじゃないんだ。

キミたち学生は、可能性の塊だ。これから社会に羽ばたいていくための、スタートラインに立ったばかり。行動していく中で、ご縁と出会いから就職先は見つかっていくものだから。就職後に目の前の仕事に一所懸命に取り組む中で、さらなる仕事や人との出会いがある。それを通して仕事の本当の面白さを知ったり、自分の本当の関心に気づき、才能を開花するようになっていくんだ。

キャリアの語源は、車輪が通った後にできる「轍(わだち)」。日々仕事をしている時には気づかないけれど、3年、5年、10年と働いた後に振り返ってみて、はじめてくっきりと見えるもの。「自分は、実はこういう仕事が好きだったんだ」「こんな特技や、持ち味があったんだ」と後付けで気づくもなんだ。

だから、今、やりたいことがはっきり見えなくてもかまわない。

むしろ、自分が直感的に関心を持った企業や、会社訪問で出会った企業の中で、「この会社でなら、ワクワク働けるイメージがわいてきた」「こんな魅力的な先輩たちとなら、一緒に働いてみたい」と思うことで会社を選んでもいいんだよ

このような私の話を聴きながら、その学生は途中から涙を流していました。

決められたスケジュール内で、人生が左右される大きな決断をしなければならないという就活のプレッシャーから解放され、鬱積していた緊張と不安も和らいだからでしょう。

「なんとか頑張ってみます...」という彼女を再度励まし、相談を終えたのでした。

すると後日、この大学生から感想メールが届きました――。<「自分が本当にやりたい仕事が何か、わからない!」 就活で悩みぬいたZ世代・学生が「漠然とした志望動機」に自信を深めたワケ(2)>に続きます。

(紹介するエピソードは実際にあったものですが、プライバシー等に配慮し一部変更を加えています。)



【筆者プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお):株式会社FeelWorks代表取締役。青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業のFeelWorks創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。近著に、『部下を活かすマネジメント「新作法」』(労務行政、2023年9月)、『Z世代の早期離職は上司力で激減できる!』(FeelWorks、2024年4月)。

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