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子どもはけっこう「悪知恵」働かせる 子どものスマホゲーム「無断課金」平均額33万円 親がとる対策は?国民生活センターに聞く

J-CASTニュース / 2024年3月26日 18時58分

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子どものスマホへの無断課金、対策は?

子どものスマホゲームの「無断課金」が高額になることも!

親が腰を抜かす事態が続出しているため、国民生活センターは2024年3月13日、「子どものオンラインゲーム 無断課金につながるあぶない場面に注意!!」という注意喚起のリポートを発表した。

相談が寄せられた子どもの無断課金の平均額は約33万円というから、馬鹿にならない。どうしたら防げるか、調査担当者に聞いた。

子どもが「パスワードを変えた」「自分の指紋認証を追加した」

国民生活センターによると、小中高校生のオンラインゲームの課金に関する2022年度の相談件数は4024件で、過去最高。相談金額の平均は約33万円と高額だった。

そのうえ2023年度は、前年を上回るペースだ。特に、スマホやタブレット端末での小中学生男子の相談が目立つ(全体の約8割)。

代表的な事例を紹介すると――。

【事例1】

私のスマホに、アプリストア運営事業者からオンラインゲームへの課金約9万円を知らせるメールが複数届いた。

その日、車で移動中、小学生の娘にねだられてスマホを貸すと、ゲームをしていた。普段のように、無料で遊んでいると思っていた。

私のアカウントにはクレジットカードを登録しているが、娘はパスワードを知らないはずだ。それなのになぜ課金できたのか。

娘に聞くと、「どうして課金できたのかは分からないが、パスワードを変えることができた」と言い、課金したことを認めた。(2023年6月・小学女子・相談者50歳代母親)

【事例2】

小学生の息子が「先月、ゲームの課金をしてしまった」と言ったので、クレジットカードの明細を確認すると、約5万円課金されていた。使ったのは私の古いスマで、Wi-Fiにつなげばゲームや動画を見られるので息子が使用していた。

アカウントは私のもので、スマホにはクレジットカードの情報も登録されていた。課金するには私の指紋認証が必要な設定だが、息子は「友だちから指紋認証の追加の方法を教えてもらい、自分の指紋を追加した」と言っている。(2023年6月・小学男子・40歳代母親)

【事例3】

今月の請求額が高額だったので請求内容を調べると、オンラインゲームの課金代約10万円とわかった。夫は機種変更をした際に、古い端末を処分せず、自宅のWi-Fi環境で無料動画を見るために、小学生の息子に使わせていた。

息子に話を聞くと、課金ボタンを押したことは認めたが、お金がかかるとは思わなかったと言う。課金に必要なパスワーがわからなかったので、自分でパスワード変更の設定をしたようだ。(2023年2月・小学男子・40歳代母親)

親のスマホを渡す時、必ずアカウントをログオフする

【事例4】

中学生の息子は、私名義で契約し息子を利用者登録したスマホを使用している。スマホ通信料は私のクレジットカードで支払っている。

通信料が高額になっていることが気になり内訳を調べると、5か月間で約5万円がオンラインゲームのアプリで使われていた。

今は息子のスマホにフィルタリングをかけ、キャリア決済の上限額を引き下げたが、そのように予防ができることを知らなかった。(2023年9月・中学男子・40歳代母親)

【事例5】

「クレジットカードの引き落しができなかった」とクレジットカード会社から連絡があり調べると、1年前から中学生の息子が無断で総額約55万円をゲームに課金していた。数年前にゲーム課金以外の目的で息子のスマホにクレジットカード番号を入力したことがあった。

私は忘れていたが、息子は覚えていてゲーム課金したようだ。

息子はさまざまなゲームを利用しており、課金したゲームごとに課金金額を把握するのは難しい。どうしたらよいか。(2023年2月・中学男子・50歳代母親)

こうしたケースから国民生活センターでは、子どもの無断課金につながる危ない場面として以下の3つをあげて、注意を呼び掛けている【図表】。

(1)保護者のスマホやタブレット端末を、保護者のアカウント(AppleやGoogleのアカウント)にログインした状態で子どもに渡す。子どもは保護者のアカウントに登録された決済方法(クレジットカードなど)で、簡単に課金できてしまう。子どもに渡す時は必ずログオフすること。
(2)保護者の古いスマホやタブレット端末を、自宅のWi-Fiにつなげて遊ばせるため、保護者のアカウントにログインした状態で子どもに渡す。(1)と同じく、子どもにお金の入った財布を渡すようなもの。
(3)子ども専用のスマホやタブレット端末を契約し、「ペアレンタルコントロール」機能を設定しないまま、子どもに渡す。ペアレンタルコントロール機能を利用すれば、子どもは勝手に決済できない。

小まめにメール、明細のチェックが大切

J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった国民生活センター相談情報部の山之内優花さんに話を聞いた。

――リポートでは、相談が寄せられた子どもの無断課金の平均額を約33万円としています。しかし、相談事例をみると、10万円以下が大半で事例5だけが約55万円です。厳密に考えていくと、ほかに数百万円の多額の課金ケースがないと、計算が合わないのではないでしょうか。

山之内優花さん じつは、100万円単位の多額な課金ケースがないわけではありませんが、さまざまな懸念があるため、あえて明記しませんでした。

――それにしてもなぜ、多額の無断課金を親が許してしまうのでしょうか。

山之内優花さん ケースとしては数万円単位の課金でもそうですが、気がつくまでに数か月とか半年以上とか、遅すぎたのですね。

何度かクレジットカード会社からメールが来たり、明細書が来たりしましたが、いちいち確認することが煩わしかった。そのまま放っておいたら、ある日、巨額の課金がわかり、ショックを受ける。こういうケースがほとんどです。やはり、小まめにメールや明細をチェックすることが何より大切になります。

――事例をみると、言い方はあまりよくないですが、子どもでもけっこう「悪知恵」を働かせていますね。
親のクレジットカードを使うために、アカウントのパスワードを変える(事例1、事例3)。課金するには母親の指紋認証が必要なのに、友だちから指紋認証の追加の方法を教わり、自分の指紋を追加する(事例2)。親も忘れている数年前のクレジットカード情報入力を覚えている(事例5)などしています。
人間に対して「性善説」と「性悪説」がありますが、親は自分の子どものスマホゲームに関しては、「性悪説」で臨んだほうがいいということでしょうか。

山之内優花さん 子どもはもともと未熟な存在です。ゲームに熱中するあまり、「もっと続けたい」「バレなければいいや」などと、悪気はありませんが、「抜け道を探して課金したい」と思うことがあるのでしょう。

現在は、インターネット動画でアカウントのパスワードを変更したり、指紋認証を追加したりする方法を簡単に知ることができます。そうしたことやっても、子どもには、どのくらいの金額になり、どれだけ親の負担になるかという認識が働かないと思います。

親は、もっともっと「進化」しよう!

――ズバリ、子どもの無断課金を防ぐにはどうしたらよいでしょうか。

山之内優花さん リポートにも書きましたが、自分が現在使っているスマホを与える場合、必ずアカウントをログインした状態で渡さずに、ログオフして渡すことが重要です。アカウントにはクレジットカード決済情報などが紐づいていますから、子どもは簡単に課金できます。

また、「電話やメールも使えない古いスマホなら大丈夫」と思うのも危険です。ログインした状態で渡すと、いま使っているスマホを渡すのと全く同じに危険です。

そして、子ども専用のスマホを契約する際は、課金や使用時間、ダウンロードするアプリなどを保護者が制限できる「ペアレンタルコントロール」をぜひ設定するようにしてください。

――ペアレンタルコントロールについては、NTTドコモのモバイル社会研究所が昨年(2023年)12月に興味深い「調査」を発表しています。
ペアレンタルコントロールは、「青少年インターネット環境整備法」によって18歳未満の子どもが携帯回線を契約する時は、保護者が設定することが義務付けられていますが、実際には、サービスを「設定しない(できない)」保護者が42%もいるというのです。
スマホ操作に疎くて、設定の仕方がわからない親がかなり存在するらしいのです。どうしたらよいのでしょうか。

山之内優花さん たしかに、ペアレンタルコントロールの利用者でも、子どものスマホ閲覧時間の制限は設定しても、課金の制限を設定しなかったため、無断課金されたケースがあります。

今の子どもは生まれた時からスマホが身近にありますから、子どものほうが親よりスマホ操作に長けている面があります。親は、もっとスマホの知識を学ばなければなりません。

また、親も子どもと一緒にオンラインゲームをするのもいいと思います。親世代のゲームといえば、任天堂のゲームソフトなどを買ってきて、家で遊ぶものでした。だから、子どものスマホゲームにはピンとこない面があるのかもしれません。親自身がもっともっと進化する必要があります。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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