いなば食品の社宅はなぜ「ボロ家」なのか 入社辞退続出問題に会社釈明「すべてが後手後手、誤解受けた」
J-CASTニュース / 2024年4月12日 21時18分
公式サイトで釈明
ペットフードなどの缶詰メーカー大手「いなば食品」(静岡市)で、社宅が老朽化して酷かったなどとして入社辞退が続出したと週刊文春が報じ、同社が釈明に追われている。
社宅は、きれいにリフォームする予定だったが、担当者が入院して亡くなるなどして、対応が後手後手に回ったという。同社に取材して、その事情を詳しく聞いた。
旧式の洗面所、社宅が雨漏りして天井から水が滴り...
まるで昭和にタイムスリップしたかのような旧式の洗面所、社宅が雨漏りしているとして、天井から滴る水を受けるマグカップ...。週刊文春の電子版は2024年4月10日、こんな写真を乗せて、いなば食品の社宅の状況を報じた。
文春の記事では、この一軒家社宅で新入社員が2~4人で共同生活をさせられ、給料も募集要項よりも月額が3万円ほど少なかったなどとして、静岡本社の工場に配属された新入社員19人のうち、少なくとも9割に当たる17人が入社を辞退したと書いた。
その後、11日になって、入社辞退者の1人とみられる人がXアカウントを開設し、そのときの状況を報告した。
それによると、社宅には、冷蔵庫や洗濯機がなく、エアコンのない部屋には扇風機が支給されたという。給料は、出勤の前日に聞いても、決まっておらず分からないと言われたとし、社員に渡さなければならない労働条件通知書ももらえなかったとして、こうした原因から辞退したと明かした。
このアカウントでは、実際に天井から水が滴る様子を撮った動画や洗濯機が置いていない老朽化した社宅の写真などが投稿されている。
これに対し、いなば食品は12日、「一部報道について」と出して、報道などで心配をかけたが、社員一同で社業に励みたいとした短いお詫び文を出した。しかし、文春報道を否定しなかったため、ネット上では、同社へのバッシング書き込みが相次ぐ騒ぎが続いた。
「担当者が入院・死亡するなどしてリフォームが遅延」
文春報道やX投稿について、いなば食品の広報担当者は4月12日、J-CASTニュースの取材に応じ、入社辞退の状況を説明した。
それによると、老朽化した社宅は、静岡市内に6棟あるうちの1棟で、社宅の数が足りなくなったため、新しく契約した。築40年ぐらいの一戸建て賃貸物件だというが、リフォームしてきれいにする予定だった。
ところが、社宅を担当していた副社長が23年10月に緊急入院し、24年1月に入って亡くなった。この期間は、社宅についての詳細な指示ができず、3月に入って、別の担当者を急きょ任命したが、リフォームの日程がずれ込んでしまったという。
「3月26日か27日に、新入社員予定者に社宅を案内しましたが、この老朽化した状態で入居すると勘違いされ、親の抗議まで受けてしまいました。給料についても、募集要項に載っていた22万6000円は、一般職ではなく総合職になります。一般職は、18~19万円ぐらいになると説明していましたが、もっと丁寧にすべきだったと真摯に反省しています。労働条件通知書を渡さなかったのは、配属先で手当が付いたりして額が違うため、後で渡そうとしたためです。すべてが後手後手に回ってしまい、誤解を受けてしまって申し訳なく思っています」
なお、静岡本社の工場では、一般職の新入社員19人のうち16人が辞退したとした。19人は、すべて大卒の女性だったという。いなば食品には、計98人が入社し、うち一般職は43人、総合職は55人としている。
こうした内容については、同社のサイトにその後、お知らせとして出ている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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