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高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 批判浴びる万博後のIR、それでも大阪の「街中パチンコ」よりマシな理由

J-CASTニュース / 2024年4月25日 17時0分

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建設が進む大阪・関西万博の会場。IR(統合型リゾート)の行方も注目されている(写真:古城 渡/アフロ)

大阪・関西万博は2025年4月13日から 10月13日までの184日間、大阪市の人工島「夢洲」で開催される。

万博への批判はいまだにある。ある芸人は、経済効果は信じられないという。赤字が出れば出るほど経済効果があがるのが、不思議でありえないという。

経済効果試算は枯れた技術、今では研究者でなくても計算できる

万博では、全国の経済波及効果について経済産業省が約2.9兆円になるとの試算を公表している。大阪府内では大阪府と大阪市が約1.6兆円になると試算している。

経済効果試算の基礎技術は90年ほど前にレオンチェフにより開発され、50年ほど前にノーベル賞を受賞した(1973年、ノーベル経済学賞)、由緒ある枯れた産業連関分析という手法。そうした基本も知らずに素人が否定するのは呆れる。もし、すごい間違いを発見したらノーベル賞ものだ。枯れた技術なので、今では研究者でなく中央政府や地方政府の役人でも計算できるし、その精度も低くない。

この産業連関分析を知っていれば、万博期間中の多少の赤字になっても全く問題ないのがわかる。なにしろ全国での経済効果が2.9兆円もあるからだ。

となると、最近では万博後のIR(統合型リゾート)の批判が出始めている。IR批判といっても、敷地面積の3%でしかないカジノが批判対象だ。

大阪府のパチンコ愛好者をカジノに誘導できれば......

先日、筆者はあるラジオ局主催の大阪でトークショーに出席した。その場で、あるマスコミの方が大阪のカジノが酷いというために、(シンガポールにあるIR施設の)マリーナ・ベイ・サンズとの比較データを出し、それに基づき、大阪カジノの方がギャンブル依存を促進すると主張した。

ところが提示されたデータは筆者にとって説得力がなかった。ちなみに、そのデータから筆者が期待収益率を計算すると、マリーナベイ 97%、大阪97%と同じ。この数字は、国際的カジノと同じであり、ギャンブル依存を著しく助長するとは言い難い。また、年間賭け金額は、マリーナベイ 14万円、大阪74万円と大阪が大きかったが、今のパチンコの半分以下である。今の街中パチンコより大阪のカジノの方がまともである。もし、大阪府のパチンコ愛好者をカジノに誘導できれば、今よりギャンブル依存を減らせるだろう。そもそも街中にギャンブルがあるのは国際的に異様であり、ギャンブルはカジノに閉じ込めるべきものだ。

マスコミの人は、数字に基づく論証をできずに、まず結論ありきだ。データは単なるコケ脅しでしかなかった。

++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。

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