「人生初のダウンであそこまで冷静に...」 大橋ジムトレーナーが明かした「井上尚弥VSネリ」裏舞台
J-CASTニュース / 2024年5月8日 17時59分
王座防衛に成功した井上(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、31)が所属する大橋ジムでトレーナーを務める八重樫東氏(41)が2024年5月7日にユーチューブを更新し、6日に行われた井上対ルイス・ネリ(メキシコ、29)戦の舞台裏を明かした。
タイトル戦は初回に井上がネリの左フックでプロ初のダウンを喫するも、2回に左のショートフックでダウンを奪い返した。5回にも左フックでダウンを奪い、試合を決定付けると、6回に右ストレートを叩き込んでレフリーストップ。井上が4団体の王座防衛に成功した。
ネリの左フックは「完全に死角になっていたみたいで」
八重樫トレーナーは現役時代、大橋ジムの所属し、世界3階級を制覇した元王者だ。現在は武居由樹(27)のトレーナーを務めている。
井上対ネリ戦と同じ日、セミファイナルに登場した武居は、WBO世界バンタム級王者ジェイソン・モロニー(オーストラリア、33)に挑戦して判定勝ちを収めた。武居のセコンドを務めた八重樫トレーナーは、武居の世界王座獲得に大きく貢献した。
八重樫トレーナーは、井上対ネリの試合を武居の控室で観戦したという。「みなさんもびっくりされたと思いますが」と切り出し、初回の井上のダウンシーンを井上の言葉を交えながら解説した。
「1ラウンドの真ん中くらいに、尚弥が左アッパーを打とうとして。右のクロスを打とうとしたところに(ネリに)左フックを合わされた。1回転して倒れた。尚弥に聞いたんですが、完全に死角になっていたみたいで、(ネリの左フックが)見えなくて右のフックを打とうとしたところに、ドンといった感じみたいだったようです。死角からのパンチみたいだったようです」
そして、ダウンを喫しながらも冷静さを失わなかった井上の非凡さを称賛した。
「人生初のダウンであそこまで冷静に8カウントで立ったのですごいなと思った。なかなかできない。びっくりしてすぐに立ってしまう。(パンチが)効いていると(レフリーに)止められたりする。(話を)聞いたら(パンチが)見えなくて、気が付いたら倒れていたと。アレッとなってカウントが始まり『立たなくては』と思ったけど、1回落ち着いて膝をついてちょっと待とうと思って待ったみたいですね。そこがすごいですよね」
「被弾しなかったのでよかったですが『怖いな、怖いな』と」
八重樫トレーナーはネリの攻撃力は想定内だったする一方で、試合の序盤にネリが放ったパンチの中にいくつか「危険なタイミング」があったと指摘した。
「かみ合いという点では、危険なタイミングがたくさんあった。1、2、3(ラウンド)くらいまで怖いなと思っていた。ダウンした時と似たようなタイミングのフック系統が。真っすぐでなく外からくるパンチなので、それに対して尚弥がギリギリの反応の時『危ない』と思った。被弾しなかったのでよかったですが『怖いな、怖いな』と思っていた」
そして最後に、バックヤードでの井上と武居の「秘話」を明かした。
「バックヤードで尚弥が入場するタイミングと、武居が退場するタイミングがかぶった。入場する尚弥が怖い顔をして入ってきて、武居に『よくやった』と言ってバーンと(背中を叩いた)。それを見てちょっとウルっときた。感動しました。(井上に)いいバトンを渡せたなと思いました」
武居の勝利を受けた井上は初回のダウンを跳ね返して逆転勝利を飾り、日本ボクシング史上最大規模となる東京ドーム興行を締めくくった。
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