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兵庫知事の尋問 告発者の処分を急いだ理由は

読売新聞 / 2024年8月31日 5時0分

 自身の疑惑を封じ込めるため、公益通報制度を ないがしろにしたのであれば、行政のトップとしてあるまじき行為だ。経緯を詳しく調べ、事実関係を明確にする必要がある。

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、県議会の百条委員会が30日、知事の証人尋問を始めた。

 知事はパワハラ疑惑について、「必要な指導だった」などと述べた。尋問は今後も続き、百条委は年末までに報告書をまとめる。知事は数々の疑惑について、県民が納得できる説明をすべきだ。

 問題の核心は「公益通報制度」を巡る県側の対応である。県幹部だった男性は3月、知事のパワハラ疑惑など7項目の告発文書を報道機関などに送った。その後、公益通報制度に基づき、県の窓口にも同じ内容を通報している。

 これに対し県は独自に調査を行い、文書の内容が事実無根で 誹謗 ひぼう中傷にあたるとして、男性を懲戒処分にした。男性は7月に死亡した。自殺とみられている。

 公益通報者保護法は、通報を理由とした通報者の不利益な取り扱いを禁じている。公益通報に伴う調査の結果を待たずに県が告発者を特定し、懲戒処分にした行為は、違法である疑いが拭えない。

 23日の証人尋問に出頭した人事当局の職員は、知事には「懲戒処分は公益通報に基づく調査結果を待たねばならない」と伝えていたのに、早期の処分を検討するよう指示があったと証言した。

 批判されていた知事が、これで「風向きが変わる」と発言していたことも伝え聞いたという。

 事実だとすれば、言語道断である。本来は守らねばならない通報者を不当におとしめ、処分することで保身を図ろうとしたのなら、知事の職にとどまり続けることなど、到底許されない。

 2021年の知事初当選時に推薦した日本維新の会はこれまで静観の構えだったが、吉村洋文共同代表(大阪府知事)が一転して辞職を求める可能性を示唆した。

 大阪・関西万博の費用高騰などで逆風が続く維新には、共倒れを避けたい思惑もあるのだろう。

 百条委が公表した全職員対象のアンケートでは、知事のパワハラを見聞きしたという人が4割に上っている。品格を疑わせるような数々の事例も書かれていた。

 全てがパワハラに該当するかどうかはともかく、多くの職員が知事に不信感を持っていることは確かだろう。この状況で県政の円滑な運営を期待するのは難しい。

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