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チェリストの上村文乃が25日にリサイタル…多彩なプログラム、モダン・チェロの響き

読売新聞 / 2025年1月10日 17時0分

「作品に没入し『作曲家になりきる』ことで強い表現をめざしたい」=佐藤俊和撮影

 モダンとピリオド両方のスタイルで意欲的に活躍するチェリストの上村文乃(34)が来年1月、新たなリサイタル・シリーズ「A OF CELLO」をスタートさせる。すべての始まりをイメージさせ、アートの頭文字でもある「A」にどんな意味を込めたのか。(松本良一)

 7年間の欧州留学から帰国し、ソロや室内楽のほか古楽器オーケストラ「バッハ・コレギウム・ジャパン」のメンバーとしても舞台に上がる。作曲当時の楽器・奏法を用いる古楽と現代の演奏環境に適応したモダン、両方のスタイルを弾きこなす姿勢が評価され、2023年度の斎藤秀雄メモリアル基金賞を受賞した。今回は「ダイナミックな力強さで聴き手に訴える」モダンのスタイルで臨む。

 バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番」、その典雅な旋律を「オペラだと思って歌い上げる」と言う。約300年前に書かれた音楽を「人が生きた証し」として、より多くの聴衆に提示するためには、「その後の楽器の進化を取り入れてもいい」と考える。

 「音楽は時代を超えた存在。私たちの音楽はどこから来て、どこへ行くのか。それを探求したい」

 バッハ以外の一人で弾く曲目はすべて20世紀以降の作品だ。ハンガリーの作曲家コダーイの「無伴奏チェロ・ソナタ」はいつか挑戦したいと思っていた曲。西洋音楽のルーツをさかのぼる民族色豊かな響きは、続く日本の細川俊夫の「無伴奏チェロのための『黒田節』2024」(日本初演)にも通じる。

 米の現代作曲家ライヒの「チェロ・カウンターポイント」では、自ら7人分のチェロ・パートを事前に弾き、その録音と共演する。実験的な作品だが「学生時代に弾いたライヒの作品は、思いがけず自分の中にすっと入ってきた、あの時の新鮮な印象を再び呼び起こしたい」と話す。

 練り上げられたプログラムの後半は、ベテランのピアニスト松本和将とラフマニノフの名作「チェロ・ソナタ」を演奏する。「最初のリサイタルで弾いた思い出の曲で、憂愁を帯びたロシアのメロディーといつでも共鳴できる。音楽家としての自身の軌跡を振り返るつもりで弾きたい」

 リサイタルは今後、1~2年おきに開くという。どんな多彩なプログラムが用意されるのか注目したい。

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