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G7の試練 新たな顔ぶれで協調の道探れ

読売新聞 / 2025年1月9日 5時0分

 先進7か国(G7)の首脳の顔ぶれが、がらりと変わることになる。カナダのトルドー首相が退陣に追い込まれる一方、まもなく米国のトランプ次期大統領が復帰する。

 米国をはじめ多くの国が「自国第一」主義に傾く中、G7は結束して国際協調体制を支えられるのか。試練の時を迎えている。

 今年の主要国首脳会議(サミット)は6月にカナダ・カナナスキスで開かれる。首相在任9年でG7首脳中最古参のトルドー氏が議長を務めるはずだったが、少数与党による政権運営が行き詰まり、首相を辞任すると表明した。

 一方、欧州では移民流入や物価高への不満を背景に極右勢力が伸長し、政治的な混乱が続く。ドイツでは昨年、ショルツ首相が不信任となった。2月の総選挙で政権が交代する可能性が高い。

 フランスのマクロン政権も昨年の総選挙で少数与党内閣となり、首相任命と辞任が繰り返されている。マクロン大統領の求心力も低下している。

 こうしたことから、今年のサミットは2017年就任のマクロン氏、22年就任のイタリアのメローニ首相を除き、就任から1年足らずで外交経験が浅い首脳が大半となる。頼りなさは否めない。

 そこに加わるトランプ氏が、G7の動揺に追い打ちをかけるのは確実とみられる。

 1期目の18年に出席したカナダ・シャルルボワでのサミットでは、「世界貿易は不公平だ」と主張して亀裂をもたらし、首脳宣言を承認しなかった。

 1975年にフランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリアの6か国で最初のサミットが開かれてから今年で50年となる。先進国の首脳が顔を合わせ、石油危機や金融不安など世界経済の課題を話す枠組みとして始まった。

 その時々の政治情勢についても議論し、国際秩序の安定に一定の役割を果たしてきた。一方で、先進国だけでは解決できない気候変動など新たな分野の課題が増え、その限界も指摘されてきた。

 2008年のリーマン・ショックを踏まえ、新興国も加えた主要20か国・地域(G20)などの枠組みができたが、政治体制や経済規模の違いなどから利害が対立することも多く、問題解決の枠組みとしては機能していない。

 ウクライナと中東で紛争が続く。G7は今こそ連携し、侵略や人道に背く殺戮さつりくは許さないという規範を示し、国際協調の輪を広げる努力を強めねばならない。

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